旅で人を磨く話(旅行部門担当 研究委員 斎藤正洋)

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日本人の会話のバランス

先日、知人の女性が異業種交流会のようなところで、同じ会で会った初対面の男性に年齢を聞いたところ、「私は週に2回くらいです」と答えたそうです。何のことかわからず…知り合いの女性に聞いたところ、答えた65歳くらいの男性は「週にするセックスの回数」を答えたとのことです。男女ともに初対面で年齢を聞くこと自体、あまり行儀の良いことだと思いません。付き合いがない人に年齢を聞く場合、相手の素性を探っている感じを受けます。

とはいえ正直、男の私としては、男性の答えは微笑ましいと思いました。「男」をアピールするのに一生懸命なのだなと、察せられたからなのですが。ただ女性は単に気持ちの悪い男性だな、と一瞥しただけのようでした。

前回からのイタリアの話になりますが、イタリアの男性は年齢に関わらず日本男子よりも格好いいです。男から見ても格好いい人が多いです。なぜなのかを少し考えてみました。

イタリアと日本の男女の考え方の違い

日本の場合、シニアの世代だと“男は女性よりも前に立って当然”という意識を持っている男性が多いのではないかと思います。「私は週に2回くらいです」という言葉には、アジアの経済や会社構造を表しているようで、ハッとしました。ヨーロッパで同じことを言ったら、少し頭がおかしい人です。

ヨーロッパだと広いのでイタリアに限定して話すと、街で佇んでいるオヤジさんまで格好よく見えます。理由の一つは人間関係をよく理解しているということではないかと思います。つまり、心理とか本能とかを理解しているということです。

もう一つは、「社会が日本ほど男性に甘い構造にはなっていない」ということです。自分の足でイタリアの街を歩けば理解できます。

イタリアの場合、親が子供に恋の話までします。当然、恋愛の心理まで子供に伝えます。時には赤裸々に。恋愛心理が2代伝われば、これはかなりしっかりした話になります。男の子に、母親は女性はどういうもので、どうすべきかを教えます。女の子には、雄の本能がどういう状況で獣になるかを教えます。それを学んだ子供たちは、異性との良い関係を多少は理解して育ちます。

異性の心理がわかるというのは、人生において非常に重要なことです。恋愛や結婚において、相手の心理が理解できれば面倒なことがかなり減りますから。

地元を肌で感じる旅をすると分かること

日本では、親が子供に恋愛を教えるのは、幾分タブー視されている気がします。それもあって、女心がわかる男性は非常に少ないと思えます。表向きは男女平等であっても、日本の会社は今でも男性中心の場合が多く、男が稼いでやっているという自覚を持っている男性が非常に多かったかと思います。

日本の場合、日本の古い社会が引きずっている「お金を稼ぐ家長が偉い」という暗黙の了解に安住している男性が少なくありません。

ただ、女性から見るとそうした理由で威張っている男性は、格好悪いだけでなく、軽蔑されたりします。日本で熟年離婚が増えたのは、年金が夫婦均等に分割された結果、当然として起こった現象です。

もともと、男性の社会的な既得権が日本ほど多くないイタリアの男性を見ていると、女性への気遣いがあります。会社で上司をちょっと大事に扱い、ちょっと気を使って話をする程度なのですが。

旅で気がつく、魅力的な男性あるいは女性になる方法

ヨーロッパの論理として会社が優先ではなく、家庭を最優先にしているという風潮があります。「仕事だから仕方がない」という日本の言い訳がありますが、ヨーロッパ家庭では通用しません。「家庭のことだから仕方がない」という言い訳はヨーロッパ社会では通用します。

過去の日本で、サラリーマンが家庭を優先するというのは非常に難しかったことです。シニア世代は知っているように、日本では会社を優先にしないと評価されなかったからです。会社に愛されなければ社会的な地位を失ってしまう日本の男性と、女性に愛されなければ人生に意味がないイタリアの男性の違いになります。

お勧めしたい旅は、こんなことを考えさせられたり、学んだりするような旅です。できれば個人旅行をお勧めするのは、空港で集合して、日本人のグループで日本語しか話さない旅行では、こうしたことを感じる機会がほとんどないからです。

少なくともいろいろなものを経験する旅は、女性の発想が理解できるだけでなく、モテる男性になれます。そんな勉強のつもりで旅をするのも、良いかもしれませんね。

イタリア、ジェノバの風景を集めてみました。よろしければ参考にしてください。

http://www.saitoon.com/AftertheWorld/Genova/

http://www.saitoon.com/

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