2014年はシニア世代のタブレット端末本格普及元年か(コミュニケーション担当 研究委員 木村純)

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前回まではシニア世代に広がるスマートフォンとコミュニケーションの関係について考察を行なってきたが、ここで、同様に広がってきているタブレット端末の普及を中心に、コミュニケーションがどう変化していく兆しがあるのか、見ていきたい。

まずは普及の状況から見てみる。株式会社ICT総研がシニア世代がタブレット端末をどの程度利用しているのかを把握することを目的に、60歳以上にWebアンケートを行ない(2013年12月1日から4日)、今年の1月にまとめた2014年シニア世代のタブレット端末市場動向に関する調査結果によると、タブレット端末のシニア向け出荷台数は2013年度83万台と推計された(年齢的に60歳以上を想定)。また、2016年度には、2013年度比83%増の152万台と大きな成長を続ける見込み。団塊世代でもともとPCを利用していたシニア世代がすんなりとタブレット端末を利用し始めたことに加えて、それまでPCを敬遠していた層にも、使い勝手のよいタブレット端末の利用が拡大していることが想像される。

タブレット端末の年代別利用率を見ると、60代以上の利用率は12.5%。まだまだ低い数字ではあるが、未利用者に今後の意向を聞くと、46%の回答者が「価格や使いやすさ次第では、今後の利用を検討したい」と回答しており、今後利用者の増加が続くことが予測できる。

次に端末の種類では、「iPad」、「Androidタブレット」、「その他のタブレット」と分類したところ、「iPad」が総合満足度68.6ポイントでトップとなった。「Androidタブレット」が63.1ポイント、「その他のタブレット」が62.3ポイントと続いた。項目別に見ると、iPadは「端末の機能・性能」が70.3ポイント(Androidタブレットは59.7ポイント)、「端末の形状・デザイン」が74.0ポイント(Androidタブレットは67.7ポイント)と高評価を得ており、これが総合満足度の高さに直結したものと見られる。

この調査では出ていないが、iPhoneを使っている方にとっては、操作方法が慣れている、という点、そしてiPad miniのチョイスもある、という点もiPad人気の大きなポイントではないだろうか。

タブレット端末は、ノートPCの代用ではなく、また、大きなスマートフォンでもない、独自のポジショニングを持っている。ノートPCにない使いやすさ、スマートフォンにない機能や大画面など、ノートPCのキーボード入力を敬遠していたシニア世代、スマートフォンでは物足りない使い勝手を求めるユーザーにとっては非常に魅力的な商品と映るであろう。

ただし、普及の鍵を握るのは、「タブレット端末を使ってみよう」というゴールではなく、タブレット端末で何を体験したいか、求めたいか、実現したいか、という目的、そしてそれをかなえるコンテンツに大きく左右されるとも考えられる。

次回、このあたりも探っていきたい。

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