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シニアの雇用と経験の伝承(研究委員 中西大輔)

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働きつづけるということ

日本人は何歳まで働き続けたいと思うでしょうか。野村総合研究所が2005年に実施した調査によると、団塊世代の78.2%が「仕事持ち続けたい」と回答しています。5年後の2010年「第12回 日本的雇用・人事の変容に関する調査結果概要」では、再雇用率(再雇用者÷定年退職者)については72.0%となり、多くの労働者が同じ企業で定年後も働いていることが分かる結果となっています。年金支給開始の延長を巡る高齢者の不安も後押しし、継続雇用制度は高齢者の「働き続けたい」という要望を反映できているものと考えられます。高齢者が就労を継続し、仕事を通じて豊富な知識と技術を伝承していくことは、社会にとって意義のあるプロセスであると考えられます。

負の側面も

しかしそれは、からなずしも良いことばかりではありません。一つには高齢者の雇用期間が延長されることにより、若年層の就労機会が奪われるのではないかという懸念です。若者が正社員となり、安定した収入の糸口を見いだせない場合、国民年金の未納という、制度自体を揺るがしかねない問題が生じると考えられます。また同時に、必ずしもすべての高齢者を一律に雇うということ自体が、組織の活力、モチベーションを高めるという事態にはつながらないという側面もあります。高齢者の雇用継続による技術の伝承はもちろん大事ですが、一方では、組織の新陳代謝が滞るという可能性を孕んでいるとも言えます。

働く場があるのか

問題の原因は、高齢者が年金を支給されるまでの、言わば空白の期間において、高齢者にとって働ける場所が、会社の延長線上に限られているということではないでしょうか。一部の企業では、シニアの多様なセカンドライフを支援する取り組みも見られますが、全体の割合からするとまだまだ希少なケースであると言えます。一番双方にとってよくないケースとは、シニアが「仕事はしたくないけれど、食い扶持がないから、会社に養ってもらおう」という考えで会社に居続けるケースであり、組織の活性化にとってもシニアの生きがいにとっても、マイナスでしかありません。

経験を伝承する場

今必要とされているものは、会社の外においてシニアが活き活きと、自己の経験ないしは仕事を通じて得られた成果を、社会に還元する機会ではないでしょうか。例えば小学生の就業体験学習において、シニアの語る仕事の経験、本質、面白さといったエピソードは、戦争体験を傾聴するのと同じくらい、意味深いものではないでしょうか。また、熟練技術者の持つ製造現場でのノウハウは、アジアの新興国にとって大変魅力的なエッセンスであると考えられます。経済がそれを価値あるものと認め、高齢者の経験が生きる仕組み作りが確立すれば、シニアは会社という枠に縛られることなく、世界中あらゆる場所で、自己の経験、ノウハウを伝承していくことが期待できると考えられます。そういう意味で、シニアが社外に価値を提供できる仕組み作りが急務であるのだと考えられます。

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