シニアの性格と男女の違い、ジージとバーバはこんなに違う(元気シニア時代への提言 39号 2014年7月号)(日本元気シニア総研 代表 富田眞司)

シニアになると、どんな性格になるのか、知りたいところです。よく、「ガンコジジー」「わからずや」などといわれますが実態はどうでしょうか。

1. シニアの一般的な性格的特徴

シニアの一般的な特徴としては、7つのことがあげられます。

(1) 豊かな人生経験、豊富な知識。自負心も。

シニアは人生を長く経験してきたこともあり、多くの知識や経験を持っています。その分、「自負心が高い方」も多いのも事実です。そのため、シニアへの対応では「礼を尽くす。」「ぞんざいに扱わない。」「教えていただく心構え。」が必要になります。

(2) 頑固な性格で、気にいると長く使う。

「頑固ジジィ」といわれるように、長い人生経験でつい頑固になる性格の人が多いことも事実です。その一方で、気に入り、慣れ親しむと、長く使う性格があります。逆に、新しいものが受け入れられないところもあります。

(3) Webが苦手、小さい文字が読めない。

60代の比較的若いシニアはWebを使いこなす人が多くいますが、70代を越すと、Webが使えない人が多くなります。インターネットが普及したのはわずか10数年のことです。その時代に現役でなかった人は、Webを使いこなすのは大変でしょう。確かに銀行の自動振り込みができないシニアが多いのも事実です。 一方で視力や聴力が衰えますので、小さい文字や、小声での対応には不向きです。

(4) 女性:遠慮しない。図々しい面も。

男女の性格の違いもあります。女性は遠慮しない性格があります。例えば無料でもらえる景品を堂々ともらいに行きます。男性は恥ずかしくてできませんが……。 一方でストレスも多くなります。親の介護、亭主の面倒、子供の離婚や未婚のパラサイトシングルなどへの対応、そして孫の面倒もほとんどが女性の役目になります。

(5) 男性:上から目線。若者とうまく話せない。

男性は長いビジネス経験が大きく影響します。ビジネスパーソン時代、部長など管理者であった人が多いため、その時代の経験が染み付き、とにかく、「命令する」「決定する」などの「上から目線」が抜けない人が多くいます。「上から目線」のため、若者とうまく話せないのも事実です。

(6) 忘れっぽい。聞こえない。見えない。

シニアになると、いろいろなところに加齢現象が起きてきます。「加齢による物忘れ」は困ったものです。人と会う約束や時間を間違えることもあります。買い物に来たつもりが知人とばったり会い、つい話に夢中になり買い物を忘れたりします。ケータイの置き忘れや、人の名前が思い出せないこともしばしば。認知症予備軍かも知れません。聞こえにくい、見えにくいは、聴力、視力の老化現象の始まりです。

(7) くどい、しつこい。嫌い。(昔、好老社会、今、嫌老社会。)

シニアになると、「くどい」「しつこい」といわれます。前述した、忘れっぽいことから、くどくなるからです。同じことを何度も言われれば、嫌なものです。シニアは人生経験豊かなこともあり、昔は尊敬の念で見られていました。いわゆる「好老社会」といわれていましたが、最近はそうでもなさそうです。今では「しつこい」「きたない」「うるさい」などと、嫌がられる傾向にあります。それが「嫌老社会」といわれるものです。シニア人口の増加に伴い、年金受給の年齢別格差が大きく、若者に不利になっていることも影響しているようです。 1407teigen1

2. リタイア後の夫婦の思いのスレ違い

シニアの一般的な性格を分析してきましたが、男女に分けてみると、どんな傾向があるのでしょうか。ひとことでいえば、「元気がない男性シニア」と「元気な女性シニア」といえそうです。そのことが男女の寿命の差になっているかもしれません。 そこで、5項目に分けて男女シニアの差をまとめてみました。先に述べた内容と重複する部分もありますが、ご容赦ください。

(1) 人間関係の男女シニアの差

「男性は上下関係で見る癖が直らない」 「社蓄」のなごりというか、リタイア後もビジネスマン時代を引きずる傾向があります。 人と会えば、「どちらが上」かどうか、が気になります。自分の勤務先だった企業の「有名度」「認知度」や、自分がついていた「役職」などに関して、つい相手と比較してしまう人が沢山います。「どちらが上か下か」の上下感覚で人を見る傾向が強いからです。そのため、初対面の人と、親しくなるのに時間がかかります。仕事人間であった人は、趣味も少なく、相手との共通話題がなくなかなか親しくなれないのも事実です。そんなこともあって、地域に溶け込めないとう実態もあります。 「女性は水平、同じ立場で接触、すぐ親しくなれる」 一方で、女性は上下感覚という意識がなく、同じ立場で接触できますので、上下関係ということはありません。女性は初対面の人でもすぐ親しくなれます。あるカルチャースクールで「お散歩ランチ」が好評で満員になっています。散歩しておいしい食事をするというものです。講師は地域のおいしいレストランを紹介するのが役目ですが、一人で参加する人も多いようです。知らない人との食事や、一人での参加は男性にはちょっと厳しいようです。

(2) 興味関心の男女シニアの差

「男性は同窓会、仲間の集いや、スポーツ・趣味」 リタイア後の男性の興味は同窓会や仲間との集い参加することです。昔なじみや、知己の人との飲み会や会話を楽しんでいます。筆者が参加する同窓会は、小学校、高校、大学、勤務先の同窓会が3社など多くの同窓会に参加しています。どの同窓会も楽しみにしている方がたくさんいます。古きよき昔を偲び、楽しむことが好きな人が多いようです。他ではゴルフや趣味、各種シニアの会、社会貢献の会、異業種交流会などの集まりに参加する人がたくさんいます。 「女性は美容、食、趣味、仲間、家族」 女性の場合の興味ははやり「食」「健康」「美容」に関することです。 エステ、美容院へ通い、健康食品もしっかり飲んでいます。また、旅行などの趣味も話題になっています。おいしいものには目がなく、つい「幸せ」という言葉が出ます。男性が食事をして「幸せ」という人はいません。長話好きも女性特有の性格です。また、20歳も若く見られたい心理も女性独自のものです。

(3) 定年後の変化における男女シニアの差

「男性は妻との旅行したい、家庭での居場所がない」 仕事人間だった男性がリタイアすると妻への恩返しも含め、夫婦で旅行したいと思う人がたくさんいます。また、定年を目標に仕事をする人にとっては、定年後の人生の準備ができていません。そのため定年後自宅に閉じこもる人もいます。でも、結局、自宅には自分の居場所がないことに気づきます。 「女性は旅行するなら仲間と一緒に、定年後の発言力強くなる」 男性が奥さんと一緒に旅行したいと思いますが、相手の奥さんはどうでしょうか。旅行するならお友達と行きたいと思っています。このことを亭主がいつ理解するかでリタイア後の夫婦の円満度が決まるかもしれません。家でごろごろする亭主と一緒にいるのがいやでパートにでる奥さんもいるほどです。収入が減少する亭主、居場所がなくなる亭主は家庭での発言力が弱まり、その分、奥さんの発言力が高まるという家庭もあります。

(4) ストレスにおける男女シニアの差

「男性はやることがないこと、孤独」 リタイア後の夫婦のストレスはどうでしょうか。亭主はやることがないことがストレスになります。中には、奥さんの料理教室について行く人もいます。何もしないでいると、認知症にもなりまねません。亭主は、やっぱり、生涯現役として仕事や、生涯学習としての勉強、さらに、社会貢献活動などして欲しいものです。そうした活動をしている人はストレスもなく、元気です。 「女性は亭主が家にいること、家族のこと」 一方、主婦のストレスは、「亭主が家にいること」です。亭主と会話もしたくない奥さんもいます。寝室も別にし、離婚を考え、「へそくり」をコツコツ増やし続けている奥さんや、損得を考え離婚せず、形だけの「仮面夫婦」という人もいます。 ストレスは亭主以外にもあります。家族の問題として、親の介護、子供の面倒もあります。子供に関しては、未婚の子供が増え、パラサイトシングルの面倒を見ざるを得ない人もいます。さらに、既婚した子供から、平気で孫の面倒を見させられることもあります。奥さんのストレスは大変なものです。そのため、子供との関係では、「老いたら子供となるべく離れて暮らしたい」とい考えているシニアもいます。この親の気持ち、子供が知る余地もありません。

(5)知的関心における男女シニアの差

「男性は自分史を書く、知的好奇心が高い」 知的関心では、男性は今が元気でないこともあり、つい昔が懐かしくなり、自分が最も元気であった20代を思い出す人が多いそうです。 そんなこともあり、今、男性シニアが興味を持っているのが、「自分史」です。自分史はこれまでの自分を振り返り、これからどう生きるかの指針にするためのものですが、どうも昔を偲ぶことに注力し、自分史を書く男性がいます。長い自分の人生です。簡単には書けるものではありません。執筆中に他界する話も耳にします。 自分史だけでなく、知的好奇心が高い男性は法律、医学などの知識を学ぶためにシニア向けの大学に通う人もたくさんいます。 「女性はエンディング・ノート」 女性は今が幸せな人が多く、「エンディング・ノート」に興味を持ち、実際に執筆している人も沢山います。書き込む内容は、子度たちに残す言葉や残す財産の話から自分の看取り(葬儀などの希望)や延命治療に対する意思表示などを記載することができます。「エンディング・ノート」は雑誌の付録、企業の販促物、公共団体から配布されるものなど、多く活用されています。女性の知的興味や関心は、「家族のこと」や「タレントの個人情報」などにも興味があります。 シニアの男性と女性って、結構違うものです。シニアビジネスでの成功には、こんなところにもヒントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA