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「物語る私たち」は、大胆で衝撃的で愛に満ちたドキュメンタリー(研究委員 鈴木ひろはる)

日本のドキュメンタリー映画で「エンディング・ノート」(砂田麻美監督)という佳作があった。これは、ガンで死に行く父親を娘がカメラで追っていく作品で、テーマが重いにもかかわらず、父親のキャラクターがユーモラスで軽妙で、それが爽やかな感動を残した。

この「物語る私たち」は、すでに亡くなった母親の姿を娘が追ったドキュメンタリーだ。監督はサラ・ポーリー。彼女は、女優として「マイ・スイート・アフター」(97)「死ぬまでにしたい10のこと」(04)「ミスター・ノーバディ」(09)などに出演。また、監督、脚本家としてもキャリアがあり「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」(06)では、アカデミー賞脚色賞にもノミネートしている。

サラがインタビューで母親の姿を追う

サラ・ポーリーの母親はダイアンといい、女優であり、良き母親だった。明るく無邪気で、時にはトラブルを起こすが、愛する父親をともに5人の子供を育てていた。ダイアンが亡くなったのはサラが11歳の時。

前半は、サラが父親や兄弟などにインタビューをし、彼らは、ダイアンへの惜しみない愛を語り、出会い、結婚生活、女優の仕事、母親としての日常、そして、死について答える。画面には当時の写真やフィルムが多数挿入され、この映画のナレーションを担当している父親の今の生活も映し出される。活発で、周囲を明るく照らし、誰しも夢中にさせる素晴らしい母親だったダイアン……、という結論で終わるはずが、3分の1を過ぎたころから、様相が変わってくる。ダイアンの秘密のプライベートが明らかになっていくのだ。

次第にダイアンの嘘と秘密が明らかに

それは、果たして真実なのか。まるで推理小説の犯人を探すように、サラがダイアンの嘘と知られざる顔を追っていく。サラにとって、その秘密は衝撃的で、父親、兄弟をも巻き込んでいく。

その秘密と嘘はもちろん観てのお楽しみだが、構成、編集の素晴らしさが、極めて個人的なフィルムを、胸を躍らせるスリリングな映画に仕上げている。ともすれば、お固くメッセージ色が強いドキュメンタリー映画が、ストーリーテリングのうまさから、一級のエンターテイメントになっているのだ。

真実は人の数ほどあり、人の記憶ほど曖昧なものもない、ということも実感できる作品で、見終わると、フッと、自分の両親の青春期や隠された秘密はあったのだろうか、と思い巡らされてしまう。
(8月30日公開 ユーロスペース配給 108分)

映画「物語る私たち」公式サイト http://monogataru-movie.com/

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