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オンラインCD・ATMの元祖は日本 第一話:オンラインCD・ATMの生い立ち(日本元気シニア総研 執行役 榎本惠一)

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半世紀余年にわたるる自己のサラリーマン生活で「CD・ATM製品」の発祥から開発・販売に携わってきた経験に基づき、日本の「自動化機器」の歩みについて話してみたいと思います。

日本の上位都市銀行は1968~69年まで「オフラインCD機(中央EDPと接続してないCD)」を数台テスト的に稼働させていました。1971年、日本の銀行向け開発の「オンラインCD」は、その後出現するATMと共に短期間に著しく普及しました。現在は銀行だけでなく、あらゆる分野(郵便局・コンビニ店・鉄道・病院・企業内・公共施設など)に設置され、私たちの日常生活に必要不可欠なシステム機器として活躍しているのはご存知の通りです。

CDは「Cash Dispenser」、ATMは「Automated Teller Machine」の略称で、それぞれ日本語で「現金自動支払機」と「現金自動入出金機」と呼ばれています。日本の現状はCDよりATMの設置台数が圧倒的多数になったので、一般的にCDを含め「ATM」と呼ばれる時代になっています。欧米では現金出金専用機をDCD「Dedicated CD」と呼び、CDとATMを区別しています。

世界で初めてCDを開発したのは、1965年、イギリスのデラルー社です。元々は石油会社向け開発の製品をロンドンの銀行へ外壁用CDとして改造したモデルを設置したものです。イギリス銀行の一支店で初稼働され、その後3年間で約300台が設置されました。しかし、オフラインCDなので、封筒に詰めた10ポンド単位の紙幣を機械から放出させる方式でした。一方、アメリカの銀行は、1967年にドキテル社と共同で、初の磁気カードを使い、指定した紙幣を直接1枚ずつ放出するオフラインCDを開発しました。これらの海外CD製品は、いずれもオフラインCD仕様であり、利用客の預金残高はわからないため、少額の出金に限られた利用のとなり著しい普及には発展しませんでした。

日本のオンラインCDは、1969年12月、三菱銀行虎ノ門支店で稼働したのが最初です。このCDは、銀行の中央EDPとオンラインで直結し、お客の個人取引を顧客自ら機械操作させる世界初のオンライン銀行サービスでした。これがマスコミで発表されると、銀行支店の開店前から周辺歩道はお客の行列であふれ、交通警察官が行列を整理する状況が数ヶ月続くほどでした。当時のEDPはバッチ処理が主流の時代で、日本の銀行だけが世界に先駆けてオンライン・リアルタイムシステム(即時処理)にこだわって開発していたので、初のオンラインCDを可能にしたのです。

M銀行の頭取さんは銀行の将来像のあり方をかなり心配されていました。当時は、銀行の大衆化、給与の銀行振込、週休二日制などの開始時期で、来店客の急増とロビーで顧客の長時間待ち、毎月の銀行繁忙日(1・10・15・20・25・月末)はお客が支店内へ入れなくなる事態が生じていました。それで「今は人材の採用が容易だが、いずれ人材不足時代が必ず訪れる。そのとき『現金自動販売機』がなければ銀行は社会的責任と使命を果たせなくなる」と、オンラインCD開発をメーカーへ依頼したのです。1968年頃「ATM」の名称は未だなく「CD」の言葉もあまり一般化していませんでした。ちょうどコカコーラの自動販売機が街の中に出始めたころで、頭取さんは「現金自動販売機」という言葉を使われていました。

世の中に存在しない新製品の開発は莫大な先行投資を必要とします。筆者が全都市銀行の合理化部門を訪ね調査した結果は、「機械より優秀なテラー(窓口係)が充分にいるので1台800万円(当時価格)もする高価な新製品は当銀行は不必要」の答えが大半の時代でした。

M銀行の頭取さんの先見性がなかったら、今日世界に誇る日本の優れたATMシステムは存在してなかったかもしれません。その場合、「銀行の支店数」、「ロビー・スペース」、「テラー人員」の増加はとてつもなく膨大となり、銀行の経営は大きな打撃を受けていたはずです。元々銀行カウンターへ来店する少額取引者(数千円の少額を常に出し入れするお客)は採算性に見合わず、大口取引顧客の対応が疎かになるのが問題化していました。顧客利便性の向上は表向きの理由で、当時はコスト削減の合理化が主な狙いで、来店客へ自ら取引処理をさせる自動機器の開発へと結びついたのです。

諸外国は、日本のオンライン自動機器システムの成功と目覚ましい普及を見習って、CD導入を追従してきました。オンラインCDの実現は、日本の金融機関で第二次オンライン・システム(勘定系リアルタイム・システム再構築)の時期と一致していたのが幸いし、成功しました。諸外国の銀行は日本の優れた銀行システムの構築を評価しました。

「オンラインCD・ATMの元祖は日本」であることは一般にあまり知られていません。今日のようなCD・ATMの利便性による顧客サービス、銀行の戦略的システムに成長するとは誰も予測できていなかったのです。

次回は「ATM開発と適用業務の拡大」についてお話ししましょう。

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