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「こんなはずじゃなかったシニアライフ」第9回「偶然の妙味」

元気シニアビジネスアドバイザーの原沢修一です。
「こんなはずじゃなかったシニアライフ」その第9回目の、原稿お届けします。

第9回「偶然の妙味」

勇気を与えてくれた年下のカウンセラー

資格を取って再就職した人、大学で学生の就職支援をしている人、ハローワークなどの
公共の機関に携わっている人など養成講座の同期3~4名の消息は分かっている。

他の人はどうしているのだろうか、ぼんやり考えていた。そんな時、養成講座の同期で
マドンナ的な存在だった桜井さんからメールが届いた。
北海道出身の30代半ばの溌剌とした素敵な女性で、養成講座の中にあっても明るく
愛想良しの人気者であった。
私が言うことではないが残念ながら既婚者であった。
若い頃、私の上司が女性社員のことを「結婚するまではみんなのものだ」なんて
滅茶苦茶なことを言っていたのを思い出した。(これって今の時代ならハラスメント?)

メールは「このたび、水道橋駅近くの大学で学生の就職支援の仕事をすることになり
契約社員として働くことになりました。
近くに来た時にはぜひ声をかけて下さい」という内容だったような気がする。
一度は学生の就職支援の仕事を志した私である。お言葉に甘えて早速連絡を取り、
お昼休みにお邪魔してランチを一緒にすることになった。

仕事の内容を聞きたかったのはもちろんだが、久しぶりに彼女の精力的な姿を拝見し
元気をもらおうと思ったからである。当日、彼女は約束の時間に15分遅れてやってきた。
思っていた通り元気一杯、髪を振り乱して走ってきた。そんなに走らなくてもいいのに、
どっちみちこっちは暇なのだから。
ハアハアしながら「ごめんなさい、お久しぶり」の一言と期待していた笑顔。
学生とのカウンセリングの時間は一応決まっているのだが大抵予定した時間より
オーバーしてしまうそうだ。そんなわけでゆっくりランチはできなかった。

短い時間だったが一応仕事の話も聞けてよかったのだが、つい、自虐的な愚痴に近い
悩みを話してしまった。彼女は黙って聴いていた。
そして「原沢さんも大学で学生のカウンセラーをやってみない?」と私に勧めた。
他にも何か言われたような気がしたのだが思い出せない。
時間が来たので急いで彼女は大学にもどって行った。普通はこちらから連絡を
取らなければこれで接点は切れるのだが、この彼女との再会は
今後の私の人生において大きな影響を与えていくようになるとは思ってもみなかった。

こんなハプニング(偶然の出会い)が本当にあるなんて!

思いがけないことは渋谷で起こった。
年金のことで池袋の年金事務所に行くつもりだったが、たまたま渋谷に行くことになり、
そのついでに渋谷の年金事務所で手続きをすることにした。
受付の男性がにこにこしながらこちらを見ている。驚いた、彼は以前私が勤めていた
会社の40代の同僚だった。

聞くと、私が退職した後に彼も早期退職に応募したと言う。退職した時にはすでに
社会保険労務士の資格を取得していたそうで、時間があるときに年金事務所で
アルバイトをしているとのことだった。
それにしてもなんという偶然、同僚と言ってもプライベートでは
ほとんど話をしたこともなく、ここで会わなければ、おそらく一生会うことのない人物だ。
他に中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーなどの資格も退職前に取得していたと言う。
そして今は渋谷に事務所を構えている。彼は優秀なのだ、
そして大変な努力家でもあることを知った。

彼はビジョンを持ち、事前に準備をして退職に備えていた。
言うならば、彼は「会社を見限って辞めた人」私は「会社から見限られて辞めた人」と
いうことになるのか。
往々にしてこのようなケースでは手続が終わってしまった時点で、
「それじゃ、またね!」で別れてしまうものだ。
そしてその後会ったためしがないのが普通だ。私は違った、今は時間があるのだ。
お昼も近かったので暇つぶしに彼をランチに誘った。

食事をしながらお互いの近況を話し、その日は別れた。
2週間くらい経った頃、彼から会いたいと連絡があった。
何だろうと渋谷に出向いていくと、彼のお付き合いしている人材派遣会社が、
神奈川県のある自治体からの委託事業として「若年層及び転職者向けの就職支援講座」が
市民向けに組まれている。
今その講師を探しているので私にやってみないかということであった。
もしその気があるなら人材会社に推薦すると彼は言う。やっと資格を生かす時が来た。
こんなチャンスは滅多にあるものではない。でもすぐに返答はできなかった。
何せ講師など経験したことがないのだから。確かにキャリアカウンセラーの担当分野だ。
胸がドキドキ高鳴った。ちょっと大げさだが自分にとっては
今後の人生を左右するほどの転換期が訪れたような予感がした。
少し緊張しながら渋谷を後にした。桜井さんとランチをしてから1か月後のことである。

偶然が引き起こした化学反応

すべては私の暇にまかせたランチ作戦から始まった。
もう一生会うことはないだろうと思っていた彼と渋谷で偶然バッタリ、
「それじゃあ、また」で別れていたらおそらく二度と会うことはなかっただろう。
自から行動を起こすことから偶然は生まれる。
そしてチャンスに変化する瞬間を実感した。

※次回、第10回「講師デビュー(1)」

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