「こんなはずじゃなかったシニアライフ」夫婦編 第20回は「結局二人で生きていく」

元気シニアビジネスアドバイザーの原沢修一です。「こんなはずじゃなかったシニアライフ」夫婦編、その第20回目最終回の原稿をお届けします。

妻の攻勢・夫の劣勢

現在、私はキャリアカウンセラーやシニアライフアドバイザーとして悩めるシニアの応援団としてコンサルタントや講座を開き活動をしている。 それらの活動を通していろいろな夫婦の形があることを知った。そして思ったようなシニアライフを送っている人は意外と少ないことも知った。 今回執筆した「こんなはずじゃなかったシニアライフ」の講座を催した時に受講者の一人から「本当にそうなのですか?」と言われたことがある。つまり、自分たちの夫婦は全然私の言うような夫婦ではないと言うのだ。それはとても羨ましい限りのことで、きっと悩みや、不安、お互い価値観を共有してきたのでしょう。そういえばお店を夫婦で切り盛りしている私の友人夫婦もとても仲が良い。農家の夫婦もそうだ。毎日お互いのやっていることが見えている。自然と悩みや不安、価値観を共有してきたからだろう。長い間一緒に暮らしているとお互いに考えていることがわかると言われるが、それは彼らのことであり、私には当てはまらない。それどころかますますお互いの考えていることがわからなくなってきたような気がする。夫がサラリーマンで妻が専業主婦でも仲の良い夫婦は当然いるだろう。残念ながら私の周りでそういう話はあまり聞かないだけなのかもしれない。しかし、新聞、雑誌、テレビなどでは定年退職した男性の劣勢が多く報じられている。 私の同級生は定年間近になった時、奥さんから「あなた定年になったら昼間、家にいないでね」と言われ仕方なく今は放送大学に通っている。また、一流会社にお勤めの方で退職した当時はすこぶる元気で「女房は俺が働いた年金で食っているんだ」なんて豪語していたので少し心配していたのだが、いまストレスが原因の帯状疱疹で悩んでいる。ストレスの原因はもちろん夫婦関係、退職して1年も経つとやることがなくなり、家にいるのが面白くないと言う。そして悲しかったのは居間のテレビの前のソファーを奥さんが片づけてしまったと言うのだ。理由は聞かなくてもなんとなくわかる。みんな一緒にいたいと結婚したはずなのにどうして。ほとんどのシニア男性諸氏は私と似たような経験をしているようだ。残りの限られた時間をいかに心豊かに楽しく過ごすかは最大の難関、夫婦関係にある。ストレスを抱えながら1つ屋根の下で過ごしていくことはお互いにとって不幸だ。「妻は変わらない」「夫も変わらない」このままでは平行線、それどころかどんどん離れていってしまう。さあどうする!

「自己承認欲求」

私は自分のために自分が変わることを選択した。そうです「不毛の戦いはしない」です。 「妻の論理」「夫の論理」お互い正しいと思って発言し行動している。ぶつかり合ってもそこには勝者も敗者もない。大きな声で自分の論理を主張し相手を屈服させたとしても何の意味もない。なにせ相手は妻なのだから。お互いつまらない悶々とした人生になってしまうだけだ。そして今まで私を支えてきた論理のほとんどは「見栄と意地」が占めていたことに気が付いた。他人だけでなく妻にも弱みを見せたくない、不安なことがあっても平静を装ってしまう。「見栄と意地」そして「プライド」は男にとって譲れない一線だった。しかしそうも言っていられない現実が目の前にある。お互い無事であればあと20年は夫婦で過ごす時間があるのだから。もう一つ大きな問題があった。それは妻に対して甘えすぎていた。妻が「解って欲しい」「察してほしい」と訴えていたことに気が付かず、ひたすら自分のことを認めて欲しい、解って欲しいと「自己承認欲求」を妻に突き付けていた。妻に対して「自分のために奉仕し尊重し優しくすること」は当たり前と思ってきたのだろう。母なら無条件に受け入れ奉仕してくれるだろう。マザーコンプレックス?そんなことは考えてもみなかった。急に昔のことを思い出した。結婚前に付き合っていた女性から「あなたは私にお母さんを求めている。私はあなたのお母さんになれない」と言われ振られたことがある。昔から私の甘え体質は変わっていないのだと認めざるを得ない。そう、私は自立できていなかったのだ。子供の頃は母に甘え、結婚してからは妻に甘えてきた。

自立

自立への第一歩は「見栄、意地」そして「プライド」を取り去ることから始まる。 妻との争いもなくなり、あったとしても冷静に余裕を持って対応することができるようになってきた。「冗談じゃない、なぜそこまで夫が妥協しなければならないのか」と言われる人もいるかもしれません。しかし妻は敵ではないのです。自分に一番近い存在なのです。結局は二人で生きていくのです。これからの限られた時間を楽しく過ごしたい。毎日顔を合わせている妻の存在は大きい。相手が機嫌良ければこちらも気分がいい。そうするために自分が変わる努力をしよう。それは自立することである。妻のために、いや自分のために!

◇私を支えてくれた女性陣 最初は妻と夫の考え方がこんなにも違うのかと戸惑いや驚き、怒りさえ覚えたものだが、今は悩める私に女性の視点からアドバイスを送ってくれた女性陣に感謝している。また、女性の友人がいたことが私にとってラッキーであった。 「こんなはずじゃなかったシニアライフ」の一番の難関であった夫婦関係の改善に大いに役に立ったことは事実だし今後のシニアライフに自信を持つことができた。結局はベースとなるのは夫婦関係。それなしには「こころ豊かなシニアライフ」は送れない。 ※「こんなはずじゃなかったシニアライフ」は今回20回をもって終了いたします。 バックナンバーはこちら

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