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仕事は元気の素、シニアになっても働きたいもの(日本元気シニア総研 代表 富田眞司)

(初出 2013年1月 「元気シニア時代への提言」シリーズより)

高年齢者雇用安定法改正による厚生年金の支給年齢延長、高齢者に働く場、これからは専門能力と三つのCが求められる

日本の高齢化は色々な社会問題を起こしています。中でも、年金は大きな問題になっています。今や、65歳以上のシニア人口が3000万人を突破、年金受給者も3867万人に達しています。支給額も50兆円を突破、その負担が厳しい状況となっています。

このままでは、年金支給が厳しくなるため、日本人の寿命の延長に伴い、年金支給を遅らせるため、国は今年から厚生年金の支給を5年間かけて、65歳まで延ばすことを実施します。

その1年目にあたり、60歳で定年退職すると、厚生年金がもらえなくなる空白時期ができてしまいます。そこで、国は厚生年金が無給にならないようにと、高齢者の雇用を延長するよう、法律が改正されました。

これから定年を迎える高齢者にとっては、ありがたいことですが、待遇をどうするかが、企業にとって大きな課題となっています。

今、日本企業の業績悪化もあり、厳しい雇用状況の中で、高齢者がこれからどう収入得るかが大きな課題といえましょう。

筆者は、現在72歳、10年前に会社を退職しました。当時は、定年後も働く人は、そんなに多くありませんでしたが、筆者は定年後、個人事業主とて、ビジネス活動を継続して今に至っています。おかげでとても元気で、生きがいのある生活を送っています。

この10年の間に、日本の景気が厳しいことも影響し、仕事がしたい高齢者の割合が急速に増加し、今や75%と4人に3人に達しています。そんな中で年金支給の延長となり、無年金となる高齢者が登場するという厳しい現状となっています。

そこで、今回は高年齢者雇用安定法改正が与える影響と、今後の企業対応がどうなるかについての話をします。

高齢者の雇用延長における課題は四つ

高年齢者雇用安定法改正が与える問題点は四つあります。

1. 高齢者に能力にマッチしない高給が支払われていること

日本の給与体系が終身雇用年功序列型(生活給的な考え方もある)になっている関係で、定年前のビジネスパーソンの給与が高いことが定年延長に与える影響です。

日本が米国のように「能力に見合った給与体系」なら、定年延長しても、能力分だけ給与を支払えばよいため、問題にはなりません。実際、米国には定年がありません。米国では性別や年齢別などによって採用条件を変えることが禁じられているからです。米国では仕事は能力に応じて勤務先企業と契約を結ぶ制度になっています。

しかし、日本は年功序列制度のため、高齢になるとあまり能力がないのに高額な給与が支払われています。そのため、定年延長すると高級を支払わなければなりません。

かつて、筆者は若いビジネスパーソンを集めたある勉強会で、参加者に高齢者の上司が役に立たないと思う人と質問したこところ、8割もの人が役に立たないと回答したことを覚えています。若いビジネスパーソンにとっては、年功序列型の人事に不満を持っている人が沢山います。

2. 受給している高齢者が自分の働きに見合った能力と勘違いしていること

一方で、高い給与をもらっている定年間近の高齢者が「自分能力に見合った給与」と勘違いしている人が多いことも心配です。もちろん、能力に見合った給与をもらっている人も当然いますが、多くの高齢者は、年功序列型の給与体系の恩恵で高額の給与が支給されているため、自分にそれだけの能力があると勘違いしている人が多いためです。

このことが定年後の雇用延長で支給される少なくなった給与に不満を持つことが「やる気をなくす原因」にもなります。

同じ仕事で雇用延長された場合、多くの企業ではこれまでの給与の50%から多くて70%程度の給与になる可能性があります。それを不満に思っている高齢者も沢山います。

ある高齢者が雇用延長で給与が7割になったと嘆いていました。自分の能力は十分あるのに会社は何を考えているのか?と筆者に相談されました。私はその方に、そんなに文句を言うなら「今の会社を辞めて自分の能力にあった会社に転職」されてはどうですかと答えました。本人は転職できそうないくつかの会社をあげ、そこへの転職が可能だと話していましたが、結局、その会社で雇用延長されました。本人にとって、良い選択だったと思います。

もし、この方が、高給を希望され会社を辞めたとしても、転職を受け入れる企業などありません。このことを今の高齢者の方が自覚していないことが問題です。不本意な形で高齢者の方が継続雇用されても、士気の低下は免れず、企業にとっても大きな損失になります。

3. 高齢者向けに新たな給与体系の作成が必要なこと

高齢者の再雇用については、年功序列型の給与体系では、定年時の給与を支払い続けることができないため、新たな給与体系を作成する必要が出てきます。

能力や業務に関係なく、単純に1年契約する方法もありますが、これでは、単なる福祉的な雇用延長となり、企業の出費が増えることに繋がり、今の厳しい経営にとって、簡単にできるものではありません。そのため、高齢者の能力の有効活用という視点で、能力と給与に見合う、給与体系の策定が必要になります。

再雇用の高齢者の給与体系の見直しは、これからのことを考えると、当然、退職のかなり前からの見直しが要求されます。例えば、年功序列型給与体系を徐々に緩め、50歳位を給与のピークにすることで、高齢者への給与を抑える試みもなされています。このことは、今働いている若い世代にも、影響を与えることは必定と言えます。

4. 高齢者への雇用延長で若者の就職が厳しくなること

かつて「窓際族」と呼ばれる、あまり役に立たない社員を窓際の1か所に集めた時代がありました。今や「窓際族」は死語といってよいほど、なくなっています。

「窓際族」時代のように、企業経営にゆとりのある時代なら、福祉的雇用で高齢者対応も可能になりますが、今は、企業も生き残りに必死です。そんな時代に、高齢者の雇用延長は、人件費の増加に繋がり、それを抑えるために、若者の採用を控えるのではとの心配もされています。

企業対応の事例紹介

今、各企業は高齢者の雇用延長に対して、どうすべきかの対応が急がれています。そんな中、何社かの企業の対応が発表されていますのでご参考にご紹介します。

オリックスは2014年4月、定年を60歳から65歳に延ばすと発表しました。一旦、60歳で辞めて65歳まで1年更新で再雇用する今ある制度も残し、60歳時点で社員が再雇用か定年延長かどちらかを選べる仕組みにするそうです。さらに、住宅ローンの返済などでまとまったお金が必要な社員に配慮し、再雇用なら退職金を60歳で受け取れるようにもします。60歳以降の賃金は、65歳定年を選べば60歳時点の5~6割、再雇用だと4割前後の見込みだそうです。60歳までの賃金水準は従来と同じでこれから詳細をつめるとのことです。

サントリーホールディングスや大和ハウス工業も来年4月から65歳定年にする方針といいます。

高齢者にとっては、1年ごとの雇用延長より、65歳までの定年延長の方がありがたいと思われますが、いまのところ、定年延長する企業はまだ少数派のようです。理由は人件費の増加につながりやすいためです。それができるのは、定年対象者が少ない企業、または、企業業績に余裕があるところに限られそうです。

また、トヨタ自動車は厚生年金の支給開始年齢が65歳まで段階的に引き上げられることに対応するため、新しい退職金制度を導入する検討を始めたようです。定年退職後に生活費が不足するのを防ぐのが狙いといいます。

解決策としては、企業は「給与体系の見直し」、高齢者は「能力向上」と時代変化への対応する「3C」が求められる

こうした心配をなくすためには、企業には「高齢者の能力見合った給与体系への見直し」が求められ、今の高齢者には「専門能力や経営・管理能力をしっかり磨くこと」や、「激変する時代変化への対応」などが要求されます。

激変する時代変化への対応とは、今や時代は専門家一人の能力では何も解決できません。各分野の専門家が一緒になって、ビジネスを遂行するため、三つのC「一つめのC:コラボレーション能力」「二つめのC:コミュニケーション能力」を出しあってビジネスが成り立っています。それらの能力のある人を「三つめのC:コーディネーション」する能力が求められます。激変する時代変化に対応する能力には、これらの三つの能力も必要です。

このことは、今の高齢者だけでなく、若い人も含めて求められる能力です。「40歳定年」も議論されていることを考えると、これからのビジネスパーソンは、勤務先企業が要求する能力だけにとらわれることなく、一人のビジネスパーソンとしての「高い資質」が要求される時代に進んでいることを忘れてはなりません。

シニアへの提言「定年を目標として働くのではなく、生涯現役を目指して欲しい」

日本の多くのビジネスパーソンは大学卒業後、一つの企業で定年まで勤める人が多く、会社人間として生きてきました。会社の都合にあわせて、能力も磨いてきた高齢者にとっては、定年延長はこれまでの会社人間とは、全く、別のことを要求されることになります。

高齢者が自分の能力で収入を得ていくためには、収入が得られる能力が必要不可欠です。それができる人と、できない人では、60歳からの残された人生に大きな影響を与えます。

60歳定年前のビジネスパーソンは、60歳定年を目標として働くのではなく、次の時代を目指した能力を身につけ、生涯現役ビジネスパーソンになって欲しいものです。

72歳の筆者も、生涯現役ビジネスパーソンを目指し、能力の向上を目指しています。

そうすれば、筆者が主張する「GTIでPPK」(G:元気で、T:楽しく、I:生きがいをもって、P:ピン、P:ピン、K:コロリ)が実現する筈です。

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