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認知症についての豆知識~そうならないために~(医療分野担当 研究委員 松尾厚二郎)

認知症って何、怖いの?

日本ではかつては痴呆(ちほう)と呼ばれたが、2004年に「認知症」と言い換えられた。単に老化に伴って物覚えが悪くなる誰にでも起きる現象は含まず、病的に能力が低下するもののみをさす。

統合失調症などによる判断力の低下は、認知症には含まれない。また、頭部の外傷により知能が低下した場合などは高次脳機能障害と呼ばれる。

3大認知症は、「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」である。

アルツハイマー型認知症は、認知機能低下、人格の変化を主な症状とする認知症の一種で最も多いタイプである。アルツハイマー病(AD)には、以下の2つのタイプがある。

・家族性AD;完全な常染色体優性遺伝を示し、遺伝性アルツハイマー病ともよばれ、老年期(60歳以上)に発症する。

・生活習慣性AD:年齢・家族歴・遺伝子型・高血圧・糖尿病・喫煙・高脂血症・肺炎球菌への感染などが本症の危険因子となる。

アルツハイマー型認知症は、生化学的にタンパク質のミスフォールディングによって起こる疾患である。アミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳に蓄積する。

人のヒトとしての認知機能が不如意にも減衰し、現在根本的治療法はまだない。

 認知症の原因は何?

認知症の原因となる主な疾患には、脳血管障害、アルツハイマー病などの変性疾患、正常圧水頭症、ビタミンなどの代謝・栄養障害、甲状腺機能低下などがあり、これらの原因により生活に支障をきたすような認知機能障害が表出してきた場合に認知症と診断される。

・脳血管障害の場合;画像診断で微小病変が見つかっても判別は難しく、これまでは脳血管性認知症と診断されてきたが、実際はむしろ「脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症」である場合が少なくない。

・変性性認知症;アルツハイマー型認知症は、短期記憶障害をはじめ認知機能障害により日常生活や社会生活に支障をきたすことが病態の基本となる

 驚くべき患者の増加!

日本の高齢者(65歳以上)での認知症有病率は3.08.8%(調査によってばらつきが大きい)。2026年には10%に上昇するとの推計もある。年間発症率は65歳以上で12%であるが、75歳を超えると急に高まり、8084歳では8%にも上る。

・年齢が最大の危険因子である(特にアルツハイマー型);85歳まではゆっくり上昇し、85歳を越えると急激に上昇する。

・遺伝性;片親が早期発症のアルツハイマー型認知症の場合、本人発症の危険はかなり高くなる(例えば親の発症が50代前半なら、本人発症の危険は約20倍)

・血圧降下剤により、脳内酸欠による脳細胞の減少により発症する。

・動脈硬化の危険因子;高血圧・糖尿病・喫煙・高コレステロール血症などが、脳血管型やアルツハイマー型などの本症の危険因子となる。

・受動喫煙でも認知症リスクが30年で約3割増すとの報告もある。

 どんな症状?

・認知機能低下は、①記憶・学習、②注意・集中、③思考(例えば、問題解決能力)、④言語(例えば、理解、単語検索)、⑤視空間認知、のいずれかの面に該当する。

・「中核症状」は、全ての認知症患者に普遍的に観察される症状。記憶障害と見当識障害(時間・場所・人物の失見当)、認知機能障害(計算能力の低下・判断力低下失語・失認・失行・実行機能障害)などから成る

「周辺症状」;主な症状としては幻覚・妄想、徘徊、異常な食行動(異食症)、睡眠障害、抑うつ、不安・焦燥、暴言・暴力(噛み付く)、性的羞恥心の低下(異性に対する卑猥な発言の頻出などなどがある。

 検査方法は?

知能検査をはじめとする神経心理学的検査が、診断及び重症度評価などに用いられる。認知症の評価、スクリーニングでは、記憶など中核症状、BPSD(症状の発生の要因に注目した表現)ADLの3つの症候を扱う。

認知症を予知する方法は従来もあり、観察式、質問式の知機能障害の測定あるいは脳内の特定の物質量を測ったり、MRI検査をしたりといった手法がある。

最近、簡易で精度の高い血液検査方法が開発された(ジョージタウン大学)。

その検査を受けると、3年以内にアルツハイマーが発症するかどうかを96%の確率で捉えることができる。「念のため受けておこう」という感覚で可能だ。MRIのように高価でもなく、ストレスも少ない。直近3年だけでなく、10~20年先の予測も将来は可能と言う。事前に生活に合わせた予防が可能になるかもしれない。

 地域在住高齢者の認知機能と社会参加との関連性

認知機能や認知症の発症に影響する要因は,運動や栄養などがあり,社会参加もその1 つとされている。

①社会活動では,家事,人の世話,学習的活動をする人,②社会的ネットワークでは,周りの人とうまくいく,友人関係に満足する人,③経済的余裕があり,趣味を持ち新聞や本を読む人は,そうでない人に比べ,認知機能が低下するリスクが低いと考えられる。

社会ネットワークへの参加が少ない人は,多い人に比べて認知機能が低下するリスクが2 倍になり,独居で個人的なつながりがないと,3 年間で認知症になるリスクが2 倍になる。

これはヒトが社会的な群れで生きていくように進化し,他者との関係を発展させ,維持させる機能を有する“社会脳” を持ったことに関連し、われわれを取り巻くさまざまな社会環境は,高齢期だけでなく人生全体において認知機能に影響を及ぼしている。社会との関係の大きさが,身体的・精神的な健康や長寿に影響を与えると考えられる。

 まとめ

認知症の原因となる主な疾患は、脳血管障害、アルツハイマー病などの変性疾患、及び生活習慣病等の要因であり、もちろんこれらを回避・軽減することが大切であるが、基盤になる社会的要因の重要性を、ここでは強調しておきたい。

生産的あるいは社会的な活動に参加することは,高齢者の社会的役割感を満足させ,個の役立ち感や自己満足という自己観念を持続させる。その為のある程度の経済的な基盤は必要である。経済的ゆとりは,身体的・心理的ゆとりにもつながり,社会活動に参加する意欲や機会が高くなると考えられ,健康や長寿に対する関心も高くなり,認知機能によい影響をもたらす。

心理的要因として,新聞や本を読む,趣味がある人は、無い人に対して、認知機能低下の指数が半分以下であり,学習的活動に参加することと合わせて考えると,家事などの人の役に立つことと同様に,自分の楽しみを見出し,興味を持続させることが重要であり,精神的な刺激が認知機能を保持する役割があると考えられる。知的に挑戦するような活動の継続は,認知機能を安定させ,活性化させる。精神活動は思考,注意をコントロールする過程であり,高齢者であっても脳の予備能を増加させるという考えがあるのだ。

 2014.3.15 M’sコンシェルジュ代表 松尾厚二郎

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