シニアビジネス探訪 第21回 認知症にやさしい街づくり

元気シニアビジネスアドバイザーの林野均です。 今年の4月26日から29日まで、京都の国立京都国際会館で「第32回国際アルツハイマー病協会国際会議」が開催されます。そのプレイベントとして、2月18日に「認知症になっても安心して暮らせる街 認知症フレンドリーコミュニティーをめざして」というテーマで、講演・シンポジウムが開催されました。主催は「認知症の人と家族の会」「朝日新聞社」「社会福祉法人 朝日新聞厚生文化事業団」。 busi02  「認知症の人と家族の会」の杉山博副代表による開会挨拶に続いて、同会の宮城県支部、丹野智文さんによる当事者からのメッセージ、「英国アルツハイマー協会」会長のジェレミー・ヒューズ氏による基調講演、取り組みが進んでいる英国プリマス市のビデオ上映、「プリマス大学認知症アカデミックパートナーシップリーダー」のイアン・シェリフ氏のDAA(認知症アクションアライアンス)への取り組み紹介(テレビ会議)と続きました。 そして後半はパネルディスカッション。パネリストは、ジェレミー・ヒューズ氏、イアン・シェリフ氏の他、宮腰奏子氏(厚生労働省老健局認知症施策推進室室長)、徳田雄人氏(NPO法人「認知症フレンドシップクラブ」理事)、横山絵里氏(宇治市役所健康生きがい課係長)。 進行は国際医療福祉大学大学院教授の堀田聰子氏。それぞれの経験を踏まえながら、「認知症フレンドリーコミュニティー」とはどういうものか、実現させるためにはどんな取り組みが必要か、といった内容のディスカッションが行われました。 日本でも、「認知症にやさしい」というフレーズが良く使われていますが、その時にイメージされやすいのは、認知症の方にやさしく声を掛ける、常に寄り添って手助けをする、といったことでしょう。でもそれは違うんですよね。「認知症にやさしい街づくり」というのは、認知症の方でも一人で生活しやすい社会のシステム作りなんです。そしてその時に大前提として認識しなければならないのは、「認知症」というのは特別な「病気」ではないということ。誰でもがなりうる「現象」なんです。 「認知症」にはいろいろな原因がありますが、一番多いのが「アルツハイマー」。「アルツハイマー」は脳内で生成された酸化物が脳の一時的記憶を司る「海馬」部分に蓄積され、そのために機能が阻害されることで発症します。ご存じのように、脳は酸素が供給されることによって活動します。その活動の結果として酸化物が生成されるのは避けられないのです。すなわち、誰もが認知症になりうる、言い換えるなら、誰もが「認知症」に向かって生きているのです。蓄積速度には個人差がありますので、結果的に「認知症」が発症するまで生きているか、その前に亡くなってしまうかの違いでしかないのです。 認知症の人がこれからも増えていく現状を考えると、認知症に対応できない企業は顧客をどんどん失っていくともいえます。「認知症にやさしい街づくり」は誰かのために、でもありますが、同時に自分自身のためでもあるのですね。

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