安全で安心な住まいのための色づかい!(住環境・色彩担当 研究委員 上野邦子)

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加齢による視覚変化で色の見え方も変わってきます

加齢による老眼はじめ白内障、加齢黄斑障、糖尿病性網膜症などで視覚も変化してきます。中でも老化による白内障は高齢者の受診率が高い基礎疾患の一つです。視力の低下や視覚が衰えてくると、輪郭がぼやけたり、色の見え方も異なり、色の微妙な区別がつきにくくなってきます。安全で安心して暮らすためには、住まいの中の段差や階段の先端などの注意を促す箇所や設備器具などの表示がわかりやすいこと、それには視覚変化に対処した色づかいが大切になります。

視覚変化によって見えにくい色づかいがあります

白内障は水晶体が濁り、視力の低下やまぶしさなどでぼやけて見える、かすむなどで物が見えにくくなります。見え方も曇りガラスを通して見ている感じや、色素沈着による黄色化で黄色のフィルターをかけたようになり、やや黄ばんだ状態になるといわれ、白と淡い黄色の配色は見えにくくなります。白内障とは気がつかず、白いレースのカーテンがいくら洗濯をしても真っ白にならずきれいにならないという方もいました。

一般的には濃い青など寒色系が見えにくくなり、色の組み合わせでも黒と濃い青など暗い色の配色は識別しにくくなります。淡い色同士など明るさのコントラストの低い配色も識別しにくくなります。色は単色より組み合わせで使うことが多いので、配色には細かな配慮が必要です。

安全な住まいのための色の使い方

段差、階段など注意を促す箇所では、明るい色と濃い色(色の明るさ明度)で強弱コントラストをつけます。トイレと浴室の手すりが壁の色と同じだったため、わかりにくかったが、手すりを濃い色にとりかえたところ、使いやすく安全になったという例もあります。

上で述べた見えにくい配色、白と淡い黄色の配色などは避け、またインテリアでは茶系など同系色が多く使われますが、薄いベージュに濃い茶色など明暗のコントラストをつけるとよいでしょう。

暖色系の明るい色は比較的使いやすい色です。壁や床材も反射しにくい材質にする、まぶしさを感じさせない照明の配慮も必要です。また、照明の光源色では、顔色が冴えない洗面所の照明を変えただけで明るい顔色になり元気になった例もあります。
※ナチュラル色など種類が多くあります。

加齢による視覚変化を知り、日常生活の中で目の健康チェックを!

加齢による色覚の変化を知るということが大切です。毎日の生活の中で色を意識すると、色の見え方の変化、ぼやける、まぶしいところ、暗いところで見えにくくなるなど、目の健康チェックもできます。

見えやすい色の組み合わせは住まいの他にも介護の場やいろいろのシーンに活かせます。シニアが元気でいきいき暮らす……暮らしを豊かにする衣食住、健康促進……色の心理的効果やイメージを上手に使った色の活用法は改めて書きたいと思っています。

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