こんなはずじゃなかったシニアライフ 第6回「人生を変えた1枚のチラシ」

元気シニアビジネスアドバイザーの原沢修一です。 「こんなはずじゃなかったシニアライフ」その第6回目の、原稿お届けします。

第6回「人生を変えた1枚のチラシ」

ふと目に留まった1枚の求人チラシ

測量のアルバイトがない日の朝、新聞を読んでいたら、ふと1枚の求人チラシに目がいった。今まで求人チラシなど見たこともなかったというのに。そのチラシには近くの女子大学の綺麗なキャンパスがカラー写真で掲載されていた。求人の内容は就職難を反映してか、「学生の就職支援をするアシスタント、時給820円、週3~4日、9時30分~17時30分」何か引きつけられるものがあった。キャンパスが綺麗で女子学生に囲まれて仕事ができる。自宅から近いので車で通うことができる。それに春休み、夏休み、冬休みもある。いいことづくめである。動機は不純だが今の怠惰な私には言うことのない最適な仕事だと思えた。 翌日、電話をすると「応募者は多数来ている」と担当者は案に応募しても難しいとほのめかす。「現役時代には多くの学生の採用面接に携わってきた実績がある、きっとお役に立つことができる」と力説したのだが。わざわざ60歳近くの男を雇うはずはないかと諦めかけていた時に、追い打ちをかけるように「原沢さんはキャリアカウンセラーの資格をお持ちですか?その資格をお持ちでしたら1名採用枠があります。時給は倍になります」という。当然そんな資格は持っているはずもなく、拒否回答そのものじゃないの。まあ予想はしていたものの久しぶりにムカっとした。それにしても時給が倍になるというのは聞き捨てならない。キャリアカウンセラーとはいったい何だ。すぐにインターネットで調べてみた。キャリアカウンセラーの役割はいろいろあるのだが、その中に「就職難の中、悩みや不安を抱えている若者や転職者のキャリア形成のため寄り添いながらカウンセリングし、支援すること」とあり人の役に立つ仕事である。もともと人に接することや話すことは好きで、私に合っていそうな気がした。また娘が来年就職を控えていることもあり父親としてまともなアドバイスの1つもできるのではないかと前向きに考えてみた。

ひさびさに味わう達成感

だがこの資格を取得するためにはいくつか問題があった。毎週土曜日9時~18時まで3か月間養成講座に通学しなければならない。その費用は取得まで40万円くらいかかる。一次の筆記試験と二次のロールプレイと面接試験があると知って正直腰が引けた。養成講座に通うのはいいとしても筆記試験があることに抵抗を感じた。しかしカウンセラーが自分に向いていると考えるようになり、わずかに先の光が見えてきたような気がしたので、妻に話すと私が何かやろうとしていることに理解を示しながらも「今回は大丈夫でしょうね」と言われた。最初は何のことかわからなかったのだが、妻が言うには、「前に1度何かの資格を取ると言って途中で挫折して受講料を6万円無駄にしたのよ」と、金額まで指摘された。そういえばそんなことがあった。でもよく覚えているなあと感心すると同時に少し怖くなった。今回は金額も大きいし途中で投げ出すわけにいかない。はっきりと妻に「今回は大丈夫だ」と宣言した。養成講座には20代~60代まで多様な年齢の方が20名くらい在籍し、講師からは「原沢さんは年齢からみて若い人の2倍くらい勉強しないと合格は難しいですよ」と冗談っぽく言われたが「そうだろうな」と変に納得してしまった。講師に言われた通り筆記試験に向けた勉強は大苦戦した。とにかく覚えることができないのだ。何度も挫折しそうになった。しかし幸運なことに1次試験も2次試験も何とか一発で合格できた。でも苦しかった。この年になってこのような経験をするなんて、合格した瞬間一生懸命覚えたはずのテキストの内容はほとんど忘れてしまった。養成講座で様々な年齢、職業の方と同じ目標に向かって過ごした3か月は、年下の仲間もでき楽しく充実していた。この年になると同年代以上の仲間はいても、年下の仲間はなかなかできないし、知り合う機会もない。目標を持ち達成することは苦しいこともあるがその先に楽しいこともあることを改めて知った。1枚の求人チラシが導いたキャリアカウンセラーへの道. 久しぶりに達成感を味合うこともできた。早速、例の女子大学に電話を入れると、すでに後任のキャリアカウンセラーは決まってしまって募集は当分ないとのこと。「えー!そんなー」せっかく苦労して取ったのに。私の描いたプランは水泡に帰してしまった。やはり不純な動機がいけなかったのか

行動の重要性

動機が不純だろうがそんなことは関係ない。私の場合は女子大で働きたいとの思いで資格取得に挑戦したのである。そして仲間ができ、その存在が活力をもたらす。 行動を起こしたことにより得られた達成感、行動を起こすことにより何かが起こる。

※次回、第6回は「人生を変えた1枚のチラシ」 バックナンバーはこちら

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