老化とともに生きる(アンチエイジング担当 研究委員 柚木 望)
老化とは?
老化とはいったい何なのでしょうか? 広辞苑で引いてみると「年を取るにつれて生理機能が衰えること」と書いてあります。生物学の教科書には「時間の経過とともに不可逆的に進行する形態的、生理的な生態の衰退現象」と書いてあります。重要なのは「不可逆的な衰退現象」ということです。「不可逆的」というのは元に戻らないということです。
誰もが避けて通ることのできない「老化」
「朝起きると目頭に涙が溜まっているのよ」
「昨日楽しみに残しておいたおかずがない、あらら?」
「英会話の宿題がなかなか進まないわ」
「一日で終わっていた家事が一日で終わらなくなったわね」
65歳の母。母は歯の治療以外、病院には行ったことがないし薬も飲んだことがありません。毎日ビールを二缶は飲み、アルコールフリーではなくストレスフリー。その母も老化は日々感じているようです。どの世代の誰もが避けて通ることのできない老化。みなさんは老化とどうやってつきあっていきますか?
老化は恐怖?
自分の意思とは無関係に、コントロールできないことが生じてくると、反応としては不安を感じます。動けると思ったのに動けない。覚えていると思ったら忘れている。食べられると思ったら胃もたれしてしまった。毎日のちょっとしたことですが、積み重なると自信を無くしていきます。そして一人でいると余計に不安を覚えます。老化は怖いこととして、不安な毎日を過ごしているそんな人が実は多いのではないでしょうか。
老化とどうつきあっていくか?
東京駅八重洲口。白い帽子をかぶり、白いシャツにジーパン。首にはトルコ石のネックレス。チークはオレンジで口紅はピンク。手を振る姿は65歳には見えませんでした。そこには老化を楽しむ母の姿がありました。
「体の変化を感じているからこそ、頭を使うようになった。自然と元気じゃなくなってくるから意識的に元気になろうと思った。収入が限られているからこそより計画的になった。」
そう母は言います。
情報はテレビ、新聞、雑誌、隣近所のお友達からとあふれかえっています。その中で、人真似ではなく、自分らしい格好、自分らしい趣味、自分らしい食生活。「自分らしさ」をいろいろなところに発見することが元気でいる秘訣なのかもしれません。