この酷暑の中、生きていくのに一番大切なものはなんでしょう?(日本元気シニア総研 医療関連担当研究委員 松尾厚二郎)

 ~熱中症にならないために~ 2014.7.29 31a7ff 熱中症が増えています! 今日は土用の丑の日ですが、熱中症での死亡者がぐんぐん増えてきていますね。決して他人事ではありません。部屋の中は大丈夫とか、お年寄りで体力の弱い方とかの問題でしょ、と言った思い込みは禁物です。私は面倒だけど、外出時には自販機で1日1本はペットボトルを買い、必ず持ち歩いています。 つまり、夏場だけでは無いのですが、生きていくために一番大事なものは何でしょう?まさか“お金?”なんて思った人は、相当重症?の可能性が有りますから、以下の緊急の寄稿をお読みください。 そう、最も大切なのは「水」です。 それは、人類のはるか遠い祖先の生物が海から生まれた20億年前から決まったことでした。水を巡る体の中の営みは、遠大で、思慮深くて、そしてちょっとだけペーソス(悲しいかな弱点)を含んでいます。  身体と水 水は、私たちの体になくてはならないもの。なにしろ人体の約60%は水分(体重50キロなら約30リットル分)で、ここから2%失われるだけで脱水症になってしまうのです。人間の体の中は、文字通りいつも“水浸し”でなくてはいけないのです。 赤ちゃんは70%強、加齢に従い体内水分率は減って、シニアは50%を切りますが(瑞々しさが無くなり、いわゆる枯れる?)、それでも水浸しが必要なのです 体の中の水=「体液」、そこに浸っているのは、細胞。人間の体には、約60兆個の細胞があり、これらが体液という“海”の中で息づいているわけです。 「人の体は、この“海”を保持し、細胞の居心地がいい状態を保つために働いていて、生命活動を維持しているといっても過言ではありません」 体内の水分といわれて、多くの人がまず思い浮かべるのは「血液」でしょう。血液は、体内に張り巡らされた血管の中を流れて、体内の細胞に酸素と栄養を届ける、将に生命線です。大人一人の血管をすべてつないだ長さはなんと10万キロメートル。 ただ、体液の中で血液が占める割合は、実はさほど多くはなく、30リットルの中の、せいぜい4リットル分です。残り26リットルのうち16リットルは「細胞内液」。細胞一つ一つは顕微鏡でなければ見えない直径数十マイクロメートル程度だけれど、60兆個もあるので、細胞内の水の総量はこんなに多くなるのです。 残った10リットルが「細胞外液」。細胞の外側を満たす水分で、イメージとしてはこれが、“細胞が浸る海”に近いのでしょう。  生命維持の基本 血液が運んできた酸素と栄養は、毛細血管から細胞外液へしみ出て、それを細胞が取り込む。逆に、細胞が吐き出した二酸化炭素や老廃物は、細胞外液をへて血管に回収される、この生命維持の仕組みは、誰でも知っていることですね。 ただしこれは、水分が十分に足りているときの話。ひとたび“水不足”になると様相は一変するのです。 例えば汗をかいて血液の水分が急に減ると、緊急的に細胞内の水分が引き出され対応しようとします。 しかし、血液(血流)が急激に不足(低下)すると血圧が下がり、脳へ血が巡らなくなってしまう。脳は体の中枢であり、酸素や栄養が届かなくなるのは、即生死にかかわる問題。だから非常事態と見るや、全身の細胞は自分の細胞内液を差し出し緊急対応をしてくれます。 特に、肌や手足など、生きていくための重要度があまり高くない場所の細胞がまず“犠牲”になるのです。(16リットルの細胞内液は、非常用水分ストックでもあるのですね)。 同時に、脳が「のどが渇いた」という指令を出す。そして私たちが水を飲み、体液量が回復すれば、細胞は再び内なる海にゆったりと身を預け、生命活動が維持されるのです。  脳の限界? しかし、水不足に備えて脳がモニターするのは、全身の水分量ではなく血液中の塩分濃度なのです。 あれ、そのやり方は盲点では?と気付かれるでしょう。悲しいかな、脳に全身の水分量を感知するセンサ―は無いのです。 つまり塩辛いものを多く食べたときには、体水分の過不足にかかわらず“水が足りない”と判断してしまいます。それで水を飲み過ぎると、水分過剰で体がむくむ(浮腫)。過剰な体液は、細胞にとってもまた決して居心地が良くは無いのです。  ところで実際にこの猛暑の季節では、汗とともに塩分も急速に失われるので、脳は塩分濃度が高くないので余り水分不足とは感じなくなる(脱水症状に鈍感)。本来、のどの渇きを促進させるべき緊急事態なのに! この誤認識(作動)があることをキチンと理解しておけば、大量の汗をかいたあとは、必ずスポーツドリンクなどで”水分と塩分の両方”を補給するのが望ましい(必須な)のがお分かり頂けるでしょう。 あるいはのどの渇きが無くても、猛暑の環境では、定期的に水分を摂るのが望ましいのです 勿論、夏バテと言って栄養摂取を怠る、寝苦しいから寝不足を放置する、また適切な水分補給を怠る・・・これらが心身に良いはずないですよね。 先ずは適切な水分摂取を心がけて、「熱中症」にかかることの無いように致しましょう。 2014年土用の丑の日 (日本元気シニア総研常務理事 医療・健康関連担当研究委員 医療経営コンサルタント 松尾厚二郎)        

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