シニアと社会ネットワークの在り方 1. グループリビングという生き方(研究委員 中西大輔)

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高齢者世帯の激増

厚生労働省が発表した推計によると、世帯主が65歳以上の高齢世帯は、2035年に4割を超えるとされています。企業はこの大きな変化に対し、さまざまなアプローチをとっています。住宅メーカーは高齢者向けの住宅を提案し、介護用のロボットも製品化が検討されています。小売り企業は、高齢者にとって使い勝手の良い製品と、配送の方法に関する取組みを行っています。そして今後も、高齢者関連の市場は異業種の参入が予想されます。個別の製品、サービスに関しては、ますます市場規模が広がることが予想されますが、一方では、「シニアが社会とどう関わっていくか」を考える必要があるのではないでしょうか。

社会ネットワークとのかかわり

高齢者の「孤独死」という単語が聴きなれた言葉であるように、社会のネットワークから弾かれ、最後を遂げる高齢者は、深刻な問題となっています。さらに今後は、国が担う介護の負担も確実に増えることが予想され、全ての高齢者に対して十分なサービスを提供することも、困難であると予想されます。そのため、高齢者を取り巻くネットワークの在り方を、真剣に考える必要があると考えられます。今回はそういった、高齢者を取り巻くネットワークの先進的なモデルとして、私が取材したグループリビングCOCO宮内という生活を営むシニアを紹介します。

グループリビングという暮らし方

グループリビングは、10名程度の少人数で共同生活をする住まいです。住宅内では、お互いの自由を尊重しながら、家庭的な雰囲気で自立した暮らしを営みます。運営者側が生活者の暮らしを一方的に決めるのではなく、生活者が自らの意見を運営に反映できる自由度の高さが特徴です。住居者一人ひとりが社会の構成員であり続けられるように地域や人との繋がりを促進する地域に開かれた住まいです。今年で10年目を迎えるCOCO宮内では、ピアノ教室、子供教室、カウンセリングルーム、カフェといった施設があり、幅広い年代の人たちが関わり、互いの理解を深める場所があります。そのほかにも年中行事を通じ、シニアと社会とを結びつける活動が数多く実施されています。

COCO宮内をモデルとして

グループリビングの基本方針は、「地域」と「協働」です。地域社会における関わりを通じて、シニアが自立的に支えあいながら生活を営んでいます。シニアが自立的にイキイキと活躍するモデルとして、グループリビングは一つの成功事例であると私は感じました。今後の日本における人口動態を鑑みると、グループリビングの果たす社会的な意義は、より一層大きくなるのではないかと考えられます。シニアの生活圏を地域の中心に据え、そこに集まる人たちが共に学び、教え合いながら、活発な交流を続ける――。こうしたネットワークを通じた活動を増やすことにより、地域とシニアの関係性を再構築することができるのはないでしょうか。

そして地域の中心足りうるシニアの存在をきっかけとして、今まで関わりのなかった階層の人たちが出会い、新たな社会的ネットワーク、取組みが生まれることも期待できます。

という回答をしています。この結果から推察されることは、シニアが活き活き活躍するために、シニアと若者が交流する機会が増えることは、両者にとってもプラスであるということです。現状では、若者とシニアが交流する機会が乏しいだけです。その具体的な関わり方については、今後どのようにかかわっていくべきなのか、大いに検討の余地があると思います。

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