シニアと社会とのかかわり 1. 若者とシニア(ソーシャルイベント担当 研究委員 中西大輔)
若者とシニアのかかわり
最近の若い人たちは、何をどのように感じているか? また、シニアが若者と同じものを見て、それをどう感じているのか? お互いにわからない面が多いかと思います。シニアの方からすると、若者は傲慢で、聴く耳を持たないといった、ネガティブなイメージを持たれているかもしれません。あるいは逆もまたあるかもしれません。このように、両者の間に一種の溝のようなものがある原因は、「若者とシニアが関わる機会がない」ことに過ぎないのではないでしょうか。
日本の未来に対する若者の意識
厚生労働省が行っている「若者の意識に関する調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000021856.html)では、若者の26.8%が「日本の未来をよくしようという意欲」はあるものの、「具体的にどのようにすべきかわからない」と回答しています。設問の内容自体が抽象的であるため、何が「日本の未来にとってよいこと」なのかは、人それぞれ答えが違うのではないかと思います。しかしながら、日本の高齢者人口が絶対的に増えることは明らかなので、「シニアが活き活きと活躍できる社会=日本の未来にとってよい」という考えは、否定する人が少ないのではないかと思います。そう考えるならば、「シニアが活き活き活躍できるために何らかの協力がしたい、だけど方法が分からない」という若者も、決して少なくないと考えられます。
他者との深い関係に関して
また、「他者との関係」における回答では、「他人と深い関係を持つのは面倒だと思う」との設問に対して、「そう思う」、「どちらかといえばそう思う」と回答した者の割合は合わせて46.6%、「どちらかといえばそう思わない」、「そう思わない」と回答した者の割合は合わせて24.5%に留まったようです。一見すると消極的な回答数のように見えるかもしれませんが、もし仮に、「世代を超えて、他人と深い関係を持つことは素晴らしいことだと思う」という設問があったらどうでしょうか? これは完全に推測ですが、「そう思う」、「どちらかと言えばそう思う」の割合は、少なくとも4人に1人を超えるのではないでしょうか。
問題提起
「若者の意識に関する調査」から、4人に1人程度の若者が、
・日本の未来をよくしたいと思っているものの、具体的な方法がわからない
・他人と深い関係を持つことを、面倒だと思ってはいない
という回答をしています。この結果から推察されることは、シニアが活き活き活躍するために、シニアと若者が交流する機会が増えることは、両者にとってもプラスであるということです。現状では、若者とシニアが交流する機会が乏しいだけです。その具体的な関わり方については、今後どのようにかかわっていくべきなのか、大いに検討の余地があると思います。