自分史をつくることの七つのメリット(自分史担当 研究委員 高橋誠)

自分史をつくることには、単に自分の生きてきた証を記録として残すこと以外にも、いろいろなメリットがあります。今回は、自分史をつくることの七つのメリットを紹介します。

1.自分をよく知ることができる

自分のことはよく知っているようで意外に知らないものです。自分が経験してきたことを書き出してみることで、自分のことを客観的に見ることができるようになり、しっかりした自己認識が持てるようになります。

私たちは日々いろいろな選択をしていますが、昔の経験、体験が、無意識のうちにその選択に影響を与えています。過去を振り返ることで、その昔の経験や体験がどのように影響を与えているのか、自分の思考パターン、行動パターンを把握することができます。自分の思考や行動パターンが把握できれば、自分にはどういう生き方、やり方があっているのかを判断しやすくなります。

2.夢や目標、生きがいを見つけることができる

過去を振り返ることで、自分の好きだったこと、得意だったこと、自分の個性や強みが見えてきたら、そこから夢や目標を明確にしたり、生きがいを見つけたりすることができます。今までどんなことでほめられたか、感謝されたか、うれしかったかを思い出してみましょう。

私たちは成長するにしたがって、親からいろいろと制限を受けたり、他人の目を気にしたりするようになり、自分の本当に好きなことをできなくなったり、やらなくなったりします。子供のころは好奇心にしたがって自分の本当に好きなこと、興味があることをやっていたはずです。子供のころにどんなことを好きだったか、どんなことが得意だったか、何に興味を持っていたかを思い出すと、そこから生きがいや夢、目標を見つけるヒントを得られます。

3.自信、自尊心が高まり、主体性を持って生きられるようになる

自分の過去をじっくりと振り返ってみると、学校の勉強や、クラブ活動、習い事、友達との遊び、恋愛、社会人になってからの仕事、結婚、その他本当にいろいろなことをやってきたことがわかります。自分はこれだけのことを経験し、達成してきたのだと、自分に自信を持ち、自尊心を高めることができます。

「いろいろあったけど、がんばってきたんだな」と自己肯定でき、「自分の人生の主人公は自分である」と実感し、主体性を持って生きられるようになります。

4.自分の生きてきた軌跡を残せる

自分史をまとめて形にすることで、自分の子供、孫、子孫、知り合いの人たちに自分の生きてきた軌跡を伝えることができます。自分の体験、経験はオリジナルなもので、同じ経験をしている人はほかにいません。だからこそ、自分の体験、経験を記録して残し、他の人たちと共有することには、社会にとっても大きな意義があります。

5.脳を活性化できる

自分史をつくるときに、いろいろなことを思い出そうとして、それを表現としてまとめようとすることで脳が活性化されます。認知症予防には、日々、自分の脳の前頭葉を活用して、創作、回想、工夫、応用などをすることが重要で、なかでも日記を書くことや、自分史をまとめることは、最高の作業だとおっしゃっている医者の方もいます。

6.自分のことをうまくアピールできる

パソコン、携帯電話、インターネットなどのITの進化により、個人で情報発信したり、映像をつくったりなど、いろいろなことがお金をかけずに簡単にできる時代になりました。それにともない個人の重要性が増し、個人活動する人が増えてきています。個人として活躍するためには、個人の信用、信頼を高めていくことが大切です。

自分の信用、信頼、ブランドを高めていくためには、自分のことをよく知ってもらうことが重要ですが、そのためには自分のことをストーリーとして語ることが有効な手段です。ストーリーだと印象に残りやすく、覚えてもらいやすいからです。自分史をまとめてみることで、自分をアピールするためのストーリーになる素材をたくさん見つけることができます。

7.コミュニケーションを深めることができる

家族内で、自分の父親、母親、祖父、祖母がどのように生きてきたか、実際にはよく知らないという方は多いと思いますが、そういったことがわかるとコミュニケーションしやすくなります。自分の子供や孫に自分史をまとめて伝えることでコミュニケーションが深まります。また、子供や孫に自分の自分史をつくってもらえば、その自分史をつくる過程自体がいいコミュニケーションになります。

このように自分史をつくってまとめてみることには、いろいろなメリットがあります。またつくること自体に、何かを創造するときの喜びや楽しさ、新しい自己発見をしたときの喜びなどがあります。例えば、自分史をまとめているうちに、子供のころの友達のことを思い出し、インターネットで名前で検索したらその友達を発見できて、久しぶりに会えたといった、自分にとっての新しい出会いや展開が生まれることもあります。ぜひ、自分らしく幸せに生きるために自分史を活用してみてください。

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