パソコン導入期の70代とメディアとの関わりは時代を反映(コミュニケーション担当研究委員 木村純)
はじめてパソコンに触れた世代
Windows95がオフィスで活躍していた約20年ほど前、当時まだ50歳前後で現役で会社の推進力となっていた70代。パソコンで育った世代ではないが、仕事で活用していた最初の世代とも言える70代が現在、どのようにメディアと関わっているのか、そして、男女の違いなどはあるのか、など、世代・性別による特徴を探ってみた。
インターネットが雑誌を抜く
まずは「どのようなメディアに接触しているか?」博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所が行った、首都圏の70代男女のメディア接触、生活意識と消費行動に関する調査※によると、新聞・雑誌・テレビ・ラジオのいわゆる「マス4媒体」が全盛の時代に活躍されている世代、やはり、接触時間の約半分をテレビが占めている。そして、新聞、ラジオと続くが、なんと、パソコンが第4位で、雑誌を抜いている。活字メディアで趣味性、専門性の高い雑誌は、パソコン(インターネット)にとってかわられつつあるのかもしれない。
パソコンが家庭になかった時代を反映?
続いて「PCインターネットをどのくらい利用しているか?」ここは男女で大きな差が出ている。おそらく会社にはパソコンが一人一台導入され始めたが、家にはまだパソコンがなかった時代のパソコンへのなじみが影響しているのであろう。「日頃よく利用している」男性34.4%に対し、女性13.7%と倍以上の開きとなっている。「たまに利用することがある」を加えると男性43.4%に対し、女性29.3%と差はやや縮む。家庭にもパソコンが入ってきた世代の差は一層縮むのであろう。別途確認してみたい。
インターネットと精神的充実感
一方で、ちょっとメディア接触とは離れるが「日常生活に関する希望と現状」についても同じ調査のなかで聞いているが、「精神的に満ち足りた生活を送りたい」「そう思う」は男女とも80%を越えているなか、現実「そう思う」+「ややそう思う」と応えている男性は61.9%であるのに対し、女性は67.1%とリード。インターネットを使ったメディア接触が必ずしも「精神的に満ち足りた生活」の実感と直結しているとも言えなそうだ。
※調査概要
調査対象者:70歳~79歳の男女
調査地域:首都圏
サンプル数:227
調査手法:郵送調査
調査時期:2012年10月10日~10月28日