シニアのコミュニケーションとライフスタイルに変化をもたらすSNSとの関係(研究委員、木村純)

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前回は、シニア世代にスマートフォンが普及し、タブレット端末もスマフォを追いかけていくようなコミュニケーションメディアの状況について考察を行なったが、今回はそれらパーソナル端末を含め、デジタルメディアを使って何をしたいのか、の大きなひとつと想定されるSNSについて、その活用がいかにライフスタイルと関わっているのかを中心に探ってみたい。

株式会社クロス・マーケティングが2012年7月に行なったインターネット調査によると、まず調査対象者の傾向として、「情報収集についての関心/意識」のうち、「気になることがあるとすぐに調べるほうだ」について、「非常にあてはまる」と「あてはまる」の計が73.3%と顕著に高いことから、情報やコミュニケーションに関する興味はかなり高いであろうことが推定される。

また、SNSの利用頻度については、インターネット調査というITリテラシーの比較的高い方々であることを差し引いて考えるべきではあるが、SNS利用者のうち「月1回以下」の実質非ユーザー層は約3割。一方、約4割は「週2~3日以上」の頻度で利用しており、なかでも「ほぼ毎日」は18.7%となっている。年令世代別では男性70代では、「ほぼ毎日」が21.3%と「月1回以下」に次いで高く、積極的にソーシャルネートワークと関わっていることがうかがえる。

また、調査の詳細は不明だが、SNS参加者と非参加者で、いろいろな指標で差が出ていることがわかったようで、非常に興味深い。

●情報感度が高い:全体18% →SNS利用者:25.3% 非利用者:10.7%
●ライフスタイル満足度が高い:全体9.7% →SNS利用者:11.8% 非利用者:7.5%
●友人(オフライン)の数: →SNS利用者:25.5人 非利用者:19.0人
      (※さらにSNS利用者はSNS上の友人=11.4人が加わる。→36.9 vs 19.0)
●サークル・倶楽部加入率: →SNS利用者:43.5% 非利用者:34.7%

特に、友人の数は、オフライン・オンライン共通の友人のカウント方法がわからないが、いずれにしてもオンオフ合わせるとほぼ2倍と大きな差が出ていることに注目である。

これら、指標比較の差から、いわゆるアクティブシニアの傾向のひとつとして、好循環が表れていると思われる。

情報への関心・感度が高い ~ SNSを始める ~ ネットワークの輪や情報網が広がる ~ ライフスタイルの満足度が増す ~ さらに情報への関心・感度が高まる、というグッドスパイラルが生まれているのではないだろうか。

次回はそのSNSの中でも、どのようなサービスが人気なのかを中心に探ってみたい。

「シニアのライフスタイルとSNS利用」に関する調査
調査主体:株式会社クロス・マーケティング
調査手法:インターネットリサーチ
調査対象:全国 60~79歳の男女
調査期間:2012年7月12日(木)
有効回答数:1,200サンプル(SNS利用者600、非利用者600)

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