シニアをとりまくコミュニケーション環境(コミュニケーション担当 研究委員 木村純)

激変するコミュニケーションにシニア世代は

アナログのクチコミはもちろんのこと、テレビ、新聞といったマスメディア、そしてPCに加えてここ数年一気に加速しているスマートフォンなどのパーソナル端末メディアと、多岐に渡る情報との接触機会がある今日、シニア世代のコミュニケーションをとりまく状況はどうなっているのか、調査発表から垣間見える傾向・特徴から想定される課題の抽出や今後の傾向を予想してみた。

普及の進むインターネット接触メディア。その傾向は……

昨年の電通発表のシニア層のインターネット利用に関する調査結果によると、60代で57%、70代で23.3%がインターネットを利用、そのうち男女では、60代男性で58.7%、60代女性で55.3%、また70代男性で30%、70代女性は16.7%と、60代では男女とも半数以上の利用、70代では男女の差があることなどが見えてきた。また人口100万人以上の大都市では、60代で70.2%、70代で26.2%と大都市ほどインターネットが浸透している傾向もわかった。自家用車よりも公共交通機関を使う機会の多い都市部での移動中のコミュニケーションもこの浸透に関係しているのではと推測できる。

利用機器別にみてみると、PC経由は60代で37.7%、70代で14%。一方、携帯電話またはスマートフォン経由では、60代では51.3%、70代では18%と、より手軽にアクセスできるパーソナル端末メディアの利用が多い。この傾向は商品のさらなる普及とともに、より一層強まっていくと思われる。

さらに、「インターネットを始めてよかったこと」について質問してみると、最も多かった回答は「友人・知人とのコミュニケーションが増えた」。次に「情報が増えたり、知識が広がったりした」、「好奇心が広がった」など、これまでのコミュニケーション手段ではできなかったことが可能になるメリットを感じていると思われるコメントが多いようである。総じて、双方のやりとり、情報へのアクセス、ともに、「やってみたら、楽しい」と感じている方が多いのではと思われる。

一言ではくくれない「シニア」と「コミュニケーション」の関係

今回は総論から始めたが、今後は、年代や男女によるインターネット普及、また、都市と地方との格差、パーソナル端末メディアの普及との関係、そして最も大切なのが、これらの環境においてインターネット、メール、さらにはアプリやSNSなどの新たなコミュニケーションのもたらす生活への影響などについても掘り下げて、課題やソリューションについて考えてみたい。

※調査概要
調査対象者:60歳~79歳の男女
調査地域:全国
サンプル数:600
調査手法:調査員による訪問留置式調査
調査時期:2012年1月13日~1月23日

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