「老活や成年後見、遺言相続」(法律相談 研究委員 大竹夏夫(弁護士))
2月19日の「元気シニア倶楽部の集い」で、弁護士の大竹夏夫さんが発表した内容を紹介します。
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「老活弁護士」の大竹夏夫です。私は,「老活」をテーマに講演活動をしております。過去11年間で取り扱った高齢者問題・相続問題は500件以上になります。 高齢者問題の講師実績では弁護士No.1です。
65歳以上の日本の人口は3186万人。4人に1人が65歳以上です。
有名な聖路加国際病院の日野原重明先生は、もう102歳です。では,日野原先生のように100歳以上の日本人は何人でしょう? なんと5万1376人(2012年)なんです。しかも、そのうち女性が約9割なんです。
このような長高齢社会では、元気で長生きすることが大切です。それが「老活」の目的なのです。
老後で心配な病気のひとつが「認知症」ですね。認知症になると、日常生活に支障が出てきます。片づけ、掃除ができなくなって、衛生環境が悪くなります。金銭や預貯金が管理できなくなってしまいます。場合によっては,同居の家族に財産を取られてしまう、ということも起きています。これが「高齢者虐待」のなかでも、高齢者に特徴的な「経済的虐待」です。
その認知症の対策となるのが「成年後見制度」です。認知症などで自分で財産を管理できなくなった人には、後見人が就いて代わりに財産を管理してくれます。
成年後見は「法定後見」と「任意後見」に分かれます。「法定後見」は、家庭裁判所が後見人を選びます。最近は親族よりも弁護士などの専門職後見人が選ばれることが増えています。しかし、後見人になった親族や専門職がご本人の資産を使い込んでしまう不祥事が相次いでいます。そこで、自分の大切な財産を預けるわけですから、信頼できる人に後見人をやってほしいですよね。だから、「任意後見」がお勧めです。「任意後見」は自分が元気なうちに自分の後見人を選んでおける制度です。
トラブルの事例を紹介いたします。父85歳、姉と妹50代の3人家族です。父はずっと一人暮らしでした。妹が毎日のように通って父の世話をしていました。ところが、ある日、突然姉が父を自分の自宅に連れ出して同居を始めました。妹が父に会うために姉の自宅に行っても、文字通り門前払い。父に電話をかけても取り次いでもらえません。妹が父が通っているデイサービスの施設に訪問しても、施設に入ることすらできませんでした。姉から施設に「絶対に妹と父と会わせないように」と指示されていたのです。
なぜ姉は、妹を父に会わせなかったのか。それが経済的虐待でした。父親は賃貸アパートを3棟所有していました。その一部が売却されてしまい、もうひとつは姉の夫の名義に変わっていました。父の預貯金は調べられませんが、おそらく使い込まれていたと思われます。「経済的虐待」の典型例です。
このような経済的虐待が増えているので、親が亡くなったときには、預貯金が失くなっているというケースが多くなっています。
昔は、相続になってから、遺産を巡って家族で争うので、「相続」を「争族」と書くこともありました。ところが、最近は、親が亡くなる前から、親の財産を巡って相続争いが始まってしまうのです。
このような相続争いを避けるために有効なのが「遺言書」です。私は、現在、遺言書のハンドブックを製作中です。また、遺言書セミナー(老活セミナー)も開催します。2月26日(水)の18時30分からと3月12日(水)14時から、会場は私の事務所です。さらにメルマガも発行しています。「大竹夏夫の老活ニュース」です。
ご清聴ありがとうございました。