シニア・ビジネス探訪 第71回 再生医療の現状

元気シニアビジネスアドバイザーの林野均です。
公益財団法人日立財団主催「第15回日立財団科学技術セミナー」を聞いてきました。
タイトルは「みんなの再生医療の実現に向けて~歯と毛髪再生のイノベーション」

 講師は、理化学研究所 生命機能科学研究センター器官誘導研究チーム チームリーダー 理学博士 辻孝先生。

 先生の進められている研究は健康・医療イノベーションで、いわゆるQOL医療。直接病気を治療するのではなく、生活の質を向上させるための医療技術です。

その核となっているのは再生医療。再生医療は現在第3世代に入っているそうです。

 第1世代は幹細胞移入療法。
第2世代は皮膚・軟骨などの組織再生でシート状のもの。
そして第3世代が器官再生です。(この記事を読まれているシニアの方が気になる、歯や毛髪の再生技術です。)
 先生は、2007年、2種類の幹細胞を組み合わせて器官の「タネ」をつくり出す「器官原基法」を開発し、この技術により歯・毛包・唾液腺・涙腺の機能的な再生が可能であることを世界に先駆けて実証しました。マウスでの実験段階ですが、「タネ」を植えて歯を再生させたり、ヒトの毛をマウスの背中に再生させたりすることに成功しています。
 まだまだ一朝一夕にできるものではないでしょうが、現在はヒトでの臨床研究の実施に向けて準備を進めているそうです。

 同時に、研究領域も健康長寿社会の実現に向けて広げていて、「毛髪で健康診断」プロジェクトを民間企業21社と理研とで進めています。
これまでの健康診断(採血検査・尿検査・血圧測定)は、直前の食事や水分摂取量、検査時点の運動状態などに大きく影響を受け、不安定なデータとも言われています。
 また、実際に健診場所まで行く必要があるなどの課題もあります。
一方毛髪は、毛母細胞が細胞分裂して生み出され、内部にケラチンが蓄積して死んだ細胞の集合体であり、「最近まで生きていた細胞の標本」です。
根元には現在の健康情報が、先端には過去の健康情報が蓄積されています。
毛髪から健康状態や病気の診断が可能になるだろうということで、ビッグデータを集めるための協力者も募集しています。

詳しくは、『毛髪診断コンソーシアムサイト』へ。 →https://www.hair-diagnostic-consortium.jp/

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