シニア時代における『隣人とのトラブル対応』(日本元気シニア総研 代表 富田眞司)

(初出 2012年10月 「元気シニア時代への提言」シリーズより)

最近、隣人トラブルが多発している

最近、80代の元警官男性が向かいに住む60代女性を殺し、自分も自殺したという悲しい事件が起きました。

近隣トラブルが起きても、お互いに、批判し合っている場合は、まだ、解決の方法はあり、話合い等で解決すれば、ハッピィエンドとなります。しかし、殺傷など事件が発生してしまうと、原因や理由はともかく、法律上の被害者と加害者になってしまいます。そうならないように気をつけたいものです。

最近、近隣トラブルが多発しています。昔は近隣トラブルが少なかったような気がします。それは、ご近所との繋がりが関係しているからです。家族数が多く、殆ど町中が知り合いであった時代には、トラブルは発生しにくい状況にありました。相手のことを知っているかどうかが、トラブルの原因に繋がるからです。知らない人どうしの場合、不安感もあり、何かがあると、問題がより多くなるからです。

なかでも、シニア世代でのトラブルは被害が大きくなる

今、トラブルを起こしている人達はいろいろな世代にまたがっていますが、シニア世代になると、トラブル被害が大きくなるような気がしています。その原因にはシニア特有のものがあるような気がします。シニアの人達は人生経験が豊富なため、自分に自信をもっていることがかえって隣人トラブルに影響しているのではないかと思います。

また、シニアになると、性格が頑固になり、自分の意見を変えないことも隣人トラブルの被害を大きくしているようです。リタイア後の男性の場合、その傾向が強くなります。企業をリタイアすると、人との付き合いが減るため、コミュニケーション能力が弱くなることも影響しています。

シニアが参加する飲み会やイベントでシニアの頑固さを痛感している

シニアが参加する会で頑固な男性シニアを見かけます。「自分の意見を曲げない、人の意見をなかなか聞かない。」シニアです。特に、現役時代、大企業で出世し、高い役職についた人のリタイア後によく見受けます。せっかくの楽しい会が、興ざめになることもあります。

過日、お一人様ツアーに参加した時、食事の場で参加者が初めて顔合わせした時のことです。自分の意見と異なる意見に対して、80代の年配男性参加者が上から目線で自分が正しいかのように、注意したことがあり、びっくり体験をしました。何でも、その80代男性は、かつて大手企業でかなり高い役職についておられた方だそうです。リタイアしても、企業にいた時の役職でものをいうのは、困ったものです。注意された男性は、注意を聞き流したため、大ごとにならず、その場がおさまり、何よりでした。

隣人トラブルの対応策は、三つ

では、隣人トラブルを起こさないためには、どうすれば良いのでしょうか。

1. コミュニケーションの場をもつ

隣人トラブルの原因のひとつに、知らない相手に対する不安があります。相手と親しくなれば、相手を理解することができ、トラブルも起きにくくなります。

知人の話ですが、あるマンションで起きている近隣トラブルです。そのマンションは築15年、新築時には、総会などへの住民の参加率も高く、お互いのコミュニケーションもよく取れていました。多少の騒音が出ても、その家族のことも知っていることもいるため、近隣トラブルは殆ど発生していませんでした。

ところが、築15年ともなると、転居者も増え、知らない人が入居してきました。そこで起きたのが、転居者同士での騒音トラブルです。階上の騒音がうるさくて、眠れないというトラブルです。一方的に階下の住民が階上の住民を責め、それを受け、階上の住民が言い返し、大きなトラブルになり、今は弁護士を巻き込んだトラブルになっているそうです。知人は早く解決して欲しいと願っています。

もし、マンションの入居者の人達が入居時に近隣に御挨拶をする機会があったら、こんな大ごとにはならなかったような気がします。近隣トラブルを未然に防ぐには、コミュニケーションが何よりも重要な気がしました。

2. 色々な考え方があることを理解する

トラブル防止策の二つ目は、自分の考え方がすべてであると、思いこまないことです。時代はもの凄いスピードで進化しています。この10数年の間に、パソコンが普及し、インターネット時代となりました。また、ケータイは素早い勢いで普及しています。

ネットやケータイ時代で、これまでの生活もまったく違った生活をもたらしています。歩きながらケータイをする若者が当たり前の時代です。しゃべりながら歩く人もいます。ネットやメールをあまりやらないシニアにとっては、礼儀知らずと、ついカッとすることもあります。

また、敬語がうまく使えない、まともな文章がかけない若者が多いのも気になります。しかし、それも、新しい生き方のひとつとして、理解しないと、生活できない時代なのです。

自分たちの価値観だけで判断することでは、通用しない時代となっていることを知らないと、トラブルに巻き込まれることになります。

自分の価値観だけにこだわらず、いろいろな生き方があることを理解することが、大切なことです。そのことが、近隣トラブル回避にも繋がります。

3. 思いつめない

近隣トラブルの原因の一つに、自分の思い込みがあります。他人との接点が少ない人は、トラブルが起きると、そのことで頭がいっぱいになります。その思いがますます拡大する可能性があります。

その対処法としては、もし、いやなことがあったら、家族や仲間に話すことです。人と話すことで、自分の悩みが和らぐこともあります。また、他人のお話を聞くことで、いろいろな考えも、取り入れることができます。とにかく、思いつめないことです。

これから、ますます、少子化が進むと、孤独社会が進みます。そんな時だからこそ、人とのコミュニケーションを大切したいものです。色々な会に参加し、色々な人とのコミュニケーションをもち、いろいろな人の考え方を学ぶことで、ご近所や世代間で生じるトラブルを未然に防ぐことができます。

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