シニア・ビジネス探訪 第54回 スマートコミュニティ稲毛見学記
スマートコミュニティ稲毛見学記
元気シニア・ビジネスアドバイザーの林野均です。
RSSC(立教セカンドステージ大学)の夏期集中講義「シニアが輝くライフスタイル」のフィールドワークの一環として、「スマートコミュニティ稲毛」の見学に行ってきました。(担当講師の松田智生さんは、株式会社三菱総合研究所の主席研究員でもいらっしゃいます)
千葉市稲毛区長沼町にある「スマートコミュニティ稲毛」、2010年に開業したシニア向け分譲マンションです。シニア用の住宅というと、「介護」という言葉が付いてまわりますが、ここ「スマートコミュニティ稲毛」は、「元気なうちに入居して健康寿命を延ばそう」というのがコンセプトです。
マンションなので夫婦で入居しているとイメージしていたのですが、住民の約60%は独身で入居の方だそうで、意外でした。でも独身シニアにとっての最大のリスクは孤独(他人とのコミュニケーション不足)だそうですので、そういう意味では理に適っているのかもしれません。
スマートコミュニティ稲毛は、住居とコミュニティがセットです。住居については分譲マンション(スマートヴィレッジ稲毛)を購入します。もちろん分譲ですので、相続も譲渡も可能です。そして「スマートコミュニティ稲毛」に入会(有料)することによって、月々10万円以下の費用で施設を利用することが出来ますし、朝晩2回の食事も付きます(別料金ですが昼食を食べることも可能です)。用意されたスポーツ系から文化系までのたくさんのアクティビティに参加することが出来ますし、住民同士で新しいサークルを立ち上げることも出来ます。しかもサークルには助成金も支給されるそうです。
創立者はファイナルファンタジーなどのゲームを開発した、株式会社スクウェアの元社長(現在は、株式会社スクウェア・エニックス)の宮本雅史氏です。ゲームの世界から身を引き、リタイアしたシニアの方々が楽しめる場所を提供したいということで事業を始めたそうですが、宮本氏にとってのキーワードは「エンターテインメント」のようです。
厚生労働省&総務省の2015年4月データでは、70歳以上で要介護1~5の認定者数は総人口の17%、そのうち寝たきりに近い要介護4と5を合わせた人数は5%で、みんなが寝たきりになるというものではないということで、「スマートコミュニティ稲毛」では介護の世話にならない健康寿命を延ばす暮らしを提案することを前提に考えているようですが、人間というものは、自分は少数派に属していると考えがちです。介護状態になることを心配しているシニアの方々に心理的にも、施設的にも、どう安心してもらえるようにするのかが、今後の課題かもしれません。
シニアといっても一括りには出来ませんし、その考え方は千差万別です。この「スマートコミュニティ」がすべてのシニアの方々の意に沿うことは難しいかもしれませんが、「アクティブ」を優先に考えるシニアの方々にとっては一見の価値はあると思います。見学会も随時行っているようです。
『スマートコミュニティ稲毛』
http://www.smartcommunity.co.jp/?utm_source=yahoo&utm_medium=search&utm_campaign=senior