生涯の友、人生に大切な友は、志を共有できる真友がよい(日本元気シニア総研 代表 富田眞司)
(初出 2012年8月 「元気シニア時代への提言」シリーズより)
会社での友達は退社すれば去る、「気心あった旧友」を大切にしよう
今、お友達、何人いますか
50代後半のビジネスパーソンに「今、何人の友達がいますか。」と質問すると、お友達がたくさんいると返事が返ってきます。では、その中で、自分と同じ勤務先の人は、どれだけいますか。と尋ねると、大半が同じ勤務先と回答されます。残りは、取引先、協力会社、業界関連などが多くを占め、殆どが勤務先に関連したお友達になります。
他に、幼馴染、学友、趣味・スポーツ仲間をあげる人もいますが、全体の中で占める割合はきっと僅かでしょう。ビジネスパーソンは毎日が仕事ですので、当然のことでしょう。
会社での友達は利害が伴う、義理の付き合いとなる
会社を離れると、付き合う理由がなくなる
勤務先がらみのお友達が多いこと、それ自体に問題があるわけではありませんが、会社関係の友達は、上下関係や利害が伴うため、表面的な友達は多くても、心からの友にはなりにくいものです。
自分にとっては、親友であっても、相手にとっては、利害が伴う相手なので、仲良くはするものの、決して心は許さない付き合いの場合が多くあります。実際に、退社して気がつくと、会社で仲間であった人達は遠のき、連絡さえ来なくなります。それは、利害関係がなくなるからです。
利害がなくても、親身になる友こそ、親身の友
真の友は、利害がなくても、付き合える仲間です。利害関係がない立場の友こそ、長い付き合いができます。
新しい出会いが「一緒に輝く新しい友」を作る
退社後の新しい出会いは大切 、でも、外に出ないと、出会いもない
退社後の新しい出会いは、利害関係に左右されないため、友達として対等にお話できますので、大切にしたいものです。しかし、外に出て色々な会合やイベントに参加しないと、出会いはありません。いろいろな機会を見つけて積極的に参加しましょう。
趣味、スポーツでの出会いは楽しい
出会いの場としては、「趣味」「スポーツ」などがあります。同じ嗜好をもった仲間ができれば、話も弾みます。
趣味では、「絵画」「音楽」「写真」などの趣味の会に参加するのもいいでしょう。作品を作るだけでなく、作成した作品を発表する場をもつことで、さらに、親交が深まります。
一方、スポーツは「ジョギング」「ウォーキング」「ダンス」「アスレチッククラブ」「ゴルフ」などあり、健康保持にも、役立ちます。
サークルや勉強会へは、「老人クラブ」「大学のエクステンションカレッジ」「スポーツクラブ」など、公共施設の活用や、民間が運営する倶楽部への参加があります。
地域のイベントや、ボランティアにも参加しよう
行政やNPOなど、地域で開催される「イベント」やボランティアへの参加も、仲間づくりのきっかけになります。まずは、情報を集めて参加することです。
退社すると、縦型から横型の仲間づくりに変わる
退社すると、縦型から横型の仲間になる
退社後に付き合う仲間との関係で忘れてはならないのが、これまでの企業での上下関係による「縦型社会」での付き合いから、地域の平等関係による「横型社会」でのつきあいになるということです。口で言うのは簡単ですが、長いビジネスパーソンで身に付いた「縦型社会」での付き合い方はなかなか消えません。
気をつけなければならないのが、「上から目線」で、ついものを言ってしまうことです。かつて企業で幹部であったシニアは、つい、上から目線で「命令口調」で話してしまいますので、注意しましょう。
過去の経歴には、封印する
「縦型社会」からの発言を避けるためには、自分たちの過去の経歴には、封印することです。自分がどんな会社に勤務していたのか、どんな役職をしたのか、どんな業績があったのかは、「横型社会」では必要のないことです。かつて、企業で社長や部長であった人も、町内で八百屋さんや文具店を開いていた人も、同じ立場なのです。
「役職」から、「さんづけ」で呼び合う
「縦型社会」では、○○常務とか、○○部長と「役職」で呼ぶことがルールでしたが、退社してからの「横型社会」では、○○さんと「さんづけ」で呼び合うことになります。そのことがしっかり実行できれば、「横型社会」に馴染むことができます。
生き方が違う仲間と比較しない、比較する意味がない
長い人生、「生き方・考え方」が違うのは当たり前のこと
退社してからの新しい仲間は、お互いに長い人生をおくっている年配ばかりです。お互いに違う長い人生を送ってきています。育った環境によって、「生き方・考え方」が当然、異なります。そのため、自分と違うからと、「相手を軽蔑する発言」や「相手を非難する発言」は避けねばなりません。
仲間づくりで大切なのは、「比較しない」こと
退職後の仲間づくりにとって、一番大切なのは、他の人と「比較しない」ことです。比較することは、考え方だけではありません。財産や生活レベルはいうに及ばす、政治への関心、興味・趣味などに関しても、色々な意見や色々な立場があっていいのです。それを受け入れる気持ちがないと、友はできません。
ある勉強会で、武士道についての意見が分かれ、双方が主張ばかりするため、話がまとまらず、とても嫌な気持ちになったことがあります。そのことがあってから、両者の関係が気まずくなってしまいました。
相手の立場を受け入れることも大切、自分の意見を決しておしつけない
色々な意見があっていいことを理解しないで、つい、自分の意見ばかり主張すると、仲間がいなくなります。 大切なのは、相手の立場を受け入れることです。
議論に勝つことが目的ではない筈です。高齢者になり、頑固になると、それができなくなるのも事実です。高齢者になったら、頭を柔らかくし、相手の立場、意見を尊重するようにしたいものです。
志を共有できる「生涯の真友」をもつと人生が輝く
長い人生の「友」をどう見つけるか
長い人生を一緒に付き合える「友」は、どうしてみつけたらよいのでしょうか。幼馴染、学友、ビジネスパーソン時代の友、そして、退職後でできた友、歩いてきた時代で、色々な友ができます。その時代にあった友は、たまたま、境遇が同じであったからの友であることもあります。 境遇が変われば、意見も異なります。いつまでも、友でいられるかどうか、また、生涯の友になるとは、限りません。そんな中で長い人生の友をどのように見つけたらよいのでしょうか。
助け合う、支え合える生涯の友「志」が共有であるといい
その答えの一つが、「志」ではないでしょうか。ビジネスパーソン時代は、家族を支える、家族の生活を守るという、大きな役割がありました。
では、退職後の人生における大きな役割って何でしょうか。年金が支給され、多少なりとも、蓄えがあれば、不自由なく生活できます。特に何をしなければならないという、役割はないでしょう。役割がないからといって、何もしないでいては、知力、体力は衰え、やがて、認知症になり、家族に迷惑をかけることになります。
シニアにとって大切なことは、各自が自分で人生の目標、「志」を持つことです。「志が同じ友」「志が共有できる友」こそ、生涯の友ではないかと考えます。
「親友」というより、「真友」になれる人
生涯の友は、「親友」というより、「真友」と言った方がふさわしいでしょう。これから退職し、シニアになられる方は、ぜひ、「志」を持ち、「志」を共有できる、「真友」をみつけて欲しいものです。
再送です。
宜しくお願いします