「こんなはずじゃなかったシニアライフ」夫婦編 第14回 妻の元気のもと「亭主元気で留守がいい」

元気シニアビジネスアドバイザーの原沢修一です。 今回14回目「こんなはずじゃなかったシニアライフ」夫婦編 お届けします。

「こんなはずじゃなかったシニアライフ」夫婦編 第14回 妻の元気のもと「亭主元気で留守がいい」

何が変わってしまったのか

忘れもしない、早期退職の話をした時のこと。私なりに結婚して約30年家族のために一生懸命に働いてきた。このことについて妻や娘はどう感じているのだろう。早期希望退職のことを娘はリストラといい、妻は「辞めた後はどうするのか」と言う。もう一度言いたい、その前に言うことがあるだろう。しかしそれ以上の言葉は以後も出てこない。そこにはねぎらいの言葉を欲している自分、苦労を認めてもらいたい自分、見返りを求めている自分、そして妻の反応の意味することが解らない自分がいた。それでもなおひたすら「男のロマン」を追い求めている自分がいた。妻や娘の言葉も振り払い、退職後の希望に満ちた自由な時間を得た高揚感に浸っていた。ところが次第に状況が変わってくる。自分の思ったシナリオ通りに事が運ばないのである。少しずつ男のロマンの賞味期限が切れかかってきたように思えてきた。私が退職して数か月経ったころ、友人の仕事を手伝いに行っていたときや、資格を取るために養成学校に通っていたときはなぜか妻の機嫌がいい。ゴルフに行くときも同じである。要するに「亭主元気で留守がいい」がいまだに彼女の中に存在し続けているのである。私はもっと妻と会話したいのに、一緒に出掛けたいのに、いつからこうなってしまったのか。何が変わってしまったのか。結婚当初、なぜ結婚したのか?の問いに、一緒になれば「喜びは2倍に、悲しみや苦労は半分に」なんて本気で答えていた。そして妻は私の帰りをあんなに心待ちにしていたのに。

夫婦のコミュニケーション

何かで読んだ記事で、ある会社を定年退職した人事部長がこんな話をしていた。現役の頃、新卒の学生を採用する際にコミュニケーション能力のある人材を確保するようにと部下に指示していたそうだ。そんな彼は退職後、妻とほとんど会話がないと言う。 社会の最小単位のコミュニティである夫婦間においてさえもコミュニケーションが取れない自分はコミュニケーション能力を語る資格はないと、自虐的に話していたのがおかしかった。しかし笑い事ではない、他人ごとではないとすぐ反応してしまう自分がいた。そして自分だけではないことになんとなくほっとする自分もいた。

気になる他の夫婦

退職前の夫を抱えた女性たちから聞いた話が今になって役に立っている。いわゆる「男のロマン」に対して、とめどもなく出てくる「女の不満」である。当時はただただ聞き入るばかりだった。夫が退職したとたんにうつ病になってしまった女性の話もしていた。まさに「亭主在宅症候群」(夫源病)だ。その時、妻もうつ病にならないかと心配になって、急に不安になったことを思い出した。退職して5年たつが未だに妻はうつ病にはなっていない。むしろ出かける機会も多くますます元気でその気配は全くない。逆に夫がうつ病になることも少なくないそうだ。私もこの5年間、私なりに努力はしてきたつもりだ。妻は解っているのだろうか。いや、解っていようといまいとそのように考えてはいけないと言われた。見返りや、ねぎらいは求めるものではなく与えるものと最近少し理解できるようになってきた。この話を例の女性陣に話をすると一様にうれしそうな顔をして「原沢さんの奥さんは幸せよね」と言ってくれる。彼女たちが思っている夫像とは程遠いのだが、人前では妻に理解ある夫としてカッコつけてしまうのが悲しい、と思いつつも悪い気はしない。しかし本当のところ妻との関わり合いにおいてさほど変化はない。まだ頭の中で思っているだけで実践に結びついていない。「亭主元気で留守がいい」が続く限り妻はご機嫌なのである。この件については間違いなくそうだと確信が持てる。

◇結婚当初は何もかも一緒、お互いのいない人生なんて考えられない。何を話しても関心を示してくれた。私が変わったのか、妻が変わったのか。いつの時点から変わっってしまったのか。他の夫婦はどうしているのだろう。 次回15回目は「それがなにか?」 バックナンバーはこちら

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