「こんなはずじゃなかったシニアライフ」夫婦編 第16回「女の不満のメカニズム」

元気シニアビジネスアドバイザーの原沢修一です。 今回16回目「こんなはずじゃなかったシニアライフ」夫婦編 お届けします。

「こんなはずじゃなかったシニアライフ」夫婦編 第16回「女の不満のメカニズム」

察してほしい

私の友人の奥さんが夕食の準備をしていた。友人はテーブルでテレビを見ていた。すると後ろから布巾が飛んできた。びっくりして奥さんを見ると知らん顔して料理をしている。退職後はもちろん以前にもそんな記憶はない。「なんだよ」と聞くと「いつも食事の前にテーブルを拭くことぐらい解っているでしょ」と言われたと言う。機嫌が悪そうなので黙ってテーブルを拭いたそうだ。これと同じようなことをゴルフ友達の奥さんから聞いたことがある。昼食の用意をしているときに夫はソファーでゴルフ番組を見ながら昼食はまだかと待っていた。その姿を見た奥さんは、これからずっとこんな状態が続くのかと思うとなぜか無性に腹が立ったという。頭に血が上り布巾ではなく台所の包丁を投げたくなったと、温和な奥さんからは考えられないようなことを言っていた。とても仲の良い夫婦だったので話を聞いた時はとてもびっくりしたことを覚えている。何がそんな気持ちにさせるのだろう、人もうらやむ仲良しの夫婦なのに、現実にならなくってよかった。せめて投げるのだったら布巾ぐらいにしてほしい。この話を妻にするとなんとなくわかるような気がすると言う。えー本当かよ!つまり当たり前のことをいつも当たり前だと思ってほしくないと言うのだ。うーんよくわからない。いつもしていることだから解っているでしょ!そのくらいのことはやってよ!少しは察してよ!布巾を投げるのも、包丁を投げようとしたのも奥さんには相当のマグマ(不満)がたまっていたのだろうと言う。夫から見れば言葉に出して言ってくれればいいのにと思うのだが、そう簡単ではなさそうだ。なんとなくわかると言う妻の反応が気になる。

自分の時間

誰にでも自分の時間は必要だ。夫が家にいることの一番の不満は、今までより自分の時間が制限され減ってしまうことなのだと人は言う。私は自分の時間が大幅に増えた。増えた時間を妻と過ごそうとしたのだが、妻には毛頭その気はない。それでなくても自分の時間が減ってしまったのだからそれ以上は勘弁してくれということなのだろうか。夫婦といえどもお互い自分の時間が必要なことはわかる。自分の時間が大幅に増えた上に暇に任せて妻の時間の領分まで犯すことになっていようとは今まで気が付かなかった。そしてその領分を犯し続けるといろいろな形で問題は起こる。マグマが爆発するだけならいいが夫源病を引き起こすこともある。

妻は何も変わっていない

結婚以来ずっと主婦業である妻の環境は何も変わっていないのである。主婦という仕事を一貫してやってきた。今もそうだ。それに引き換え退職した私の生活は一変した。変わったのは自由を持て余している私の方だ。そんな私に、妻は戸惑っているのかもしれない。ある奥さんは「単に亭主元気で留守がいいと言っているわけではないのよ」「夫はこれからどうするのだろう、家にとじこまらないで地域で活き活きと活動してほしい」「いつまでも元気でいてほしいと思っているからなのよ」と言う。本当かな?その言葉を素直に聞けない自分がいる。結婚当初の夫婦関係に戻るのはもう無理だ。よく言われる長い結婚生活においては愛というより情によって結びついていると言われるが私たち夫婦もそんなところか。情すらないなんて、そんな恐ろしいことは考えたくもない。

定年退職した男性のつぶやき <朝日新聞掲載記事>

  • 夫は財源、妻は家事、子供は勉強専任
  • 定年になった途端ファミリーマネジメントは崩壊・・・喪失感
  • 居場所を失くし、役割を失くす
  • 妻が作り上げた世界を邪魔することになる
  • 精神的に自立した妻たちは、することのない夫の世話をするよりもさっさと家事を済ませ友達に会いに行きたいのだ
  • すでに家庭は父親抜きでマネジメントされ、父親がいないほうが自然で心地良い雰囲気が完成している
  • 妻はいつの間にか人脈を持ち、友人、知人と出歩くことに忙しく、家の近所にさえしっかりコミュニティの輪を持っている
  • 自分の妻を目の当たりにして、夫の戸惑いはますます強くなり、人生の誤算
  • 家庭のマネージャーだったはずの自分はこの年になって知らぬ間に家族から『解雇』されている  

以上のことが新聞に掲載されていたので敏感に反応して切り取っておいた。私だけではないもっとシビアな状況が世の中にはたくさんあると言うことだ。みんな大変だなあ、自分も大して変わらないのにいつの間にか上から目線で記事を読んでいた。

◇自分だけではないと傷をなめ合っても仕方がない。何とか夫婦間の再構築をしなければお互い限られたこれからの人生が楽しいものとはならない。妻が歩み寄ってこなければこちらから行かざるを得ない。つまらない意地は捨てよう。 次回第17回は「女の不満の原点」 バックナンバーはこちら

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